2021 Fiscal Year Research-status Report
インビトロ合成生態系を用いた共生の起源と進化の解明
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20K06769
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中島 敏幸 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (70314945)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / 実験進化 / 生態系 / クロレラ / テトラヒメナ / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸菌・クロレラ・テトラヒメナの3種構成マイクロコズムの13年間の培養で得られたクロレラ分離株の全ゲノム解読を行った。具体的には、8年培養後に分離した9株、13年培養後に分離した9株の全ゲノムDNA配列を解読した。多くの分離株の中から選定するにあたり、大腸菌との共生が推定される特徴を持つ株(単独培養で集塊形成)とテトラヒメナとの共生が推定される特徴(単独培養で細胞分散)を持つ株を選んだ。 13年培養後に分離したクロレラ株(2株のみテスト)の中には,テトラヒメナ分離株(8年培養)を大腸菌なしの条件下でチアミンのみを添加すればテトラヒメナは400日程度延命することが明らかになった(ちなみに, クロレラ祖先株とこの分離テトラヒメナ株[あるいは,テトラヒメナ祖先株])との共培養系では,テトラヒメナは20日程度で死滅した).この結果は,テトラヒメナがクロレラから代謝上の供給を受けて,外部資源(進化前は大腸菌から必須アミノ酸及びビタミン類を獲得)にはほとんど頼らずに生存できることを示している. また、13年培養ゲノム解析株のうちの2株(それぞれ細菌あるいはテトラヒメナとの共生を進化させたと考えられる)については、細胞外に分泌するアミノ酸を分析し、共生における代謝上の特性を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度行ったクロレラ祖先株のゲノムDNAのロングリード(Nanopore, Mion) は,データのクオリティーが不十分であっため,今年度別の方法(PacBio, Sequel lle)で再解析を行った.しかし,年度末までにこれによるデータは得られなかった.それ以外は計画どおりである.
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Strategy for Future Research Activity |
クロレラ祖先株のゲノムDNAのロングリードをPacBio, Sequel lleで再解析を行い,祖先株のゲノム配列を確定する.本研究で昨年度までに解読したクロレラ株を合わせると、5年培養4株、6年培養2株、8年培養9株、13年培養12株の全ゲノム配列を決定した。次年度では、これらの配列データを用いて、単一クローンからなるクロレラ祖先株がマイクロコズム内で大腸菌との細胞外共生あるいはテトラヒメナと細胞内共生を進化させた分子レベルの過程の解析を行う予定である。また,成果を専門ジャーナルに投稿する.
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた,Pacbio Sequel lle を用いたクロレラ祖先株の全ゲノムDNA配列のロングリードのためのDNA抽出作業にトラブルがあり,再度行った.そのため,本年度内に解析が終了せず,そのための分析費が次年度に繰り越された.この解析は,すでに業務を発注済みである.
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Research Products
(2 results)