2021 Fiscal Year Research-status Report
種間交雑時に交尾器不適合を引き起こす遺伝的実体の解明
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20K06771
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
田中 健太郎 東京都立大学, 理学研究科, 特任研究員 (30774129)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 形態進化 / ショウジョウバエ / 交尾器 |
Outline of Annual Research Achievements |
種間交雑時に生じる交尾器不適合は種と種を隔てる生殖的隔離の一端を担っている。これまでの研究から,性選択や性的対立によって交尾器形態が種固有の進化を遂げた結果,その副産物として種と種の間に交尾器不適合が生じているという考えが広く受け入れられているが,実際に,どの遺伝子が,どのように交尾器不適合を引き起こしているのかは未だ不明である。そこで本研究ではショウジョウバエをモデルに交尾器形態進化に寄与した遺伝子の同定を足掛かりとし,交尾器不適合を引き起こしている遺伝的な実体を明らかにすることを目的としている。 近縁種であるオナジショウジョウバエとモーリシャスショウジョウバエは研究室環境下で雑種を作成することが可能である。前年度の雑種を用いた遺伝子発現比較から得られた、シス発現調節領域の変化が交尾器形態進化に寄与した可能性の高い候補遺伝子について、in situハイブリダイゼーション法を用いて、発現部位の同定をおこなった。その結果、lonely heart遺伝子はモーリシャスショウジョウバエのposterior lobe形成予定領域で強く発現しているのに対し、オナジショウジョウバエでは発現が検出されなかった。この遺伝子は細胞外マトリックスの構成因子であり、先行研究から細胞外マトリックスがposterior lobeの形成に必須であることも分かっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて発令された緊急事態宣言によって生じた研究の遅れを本年度で挽回することはできなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた候補遺伝子が原因遺伝子であるか同定するには、それれぞれの種を用いた直接的な検証が必要である。そのため、ゲノム編集によって機能喪失型アリルを作成し、遺伝子機能に種間差見られるか明らかにすることが急務となる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス関連で当初予定していた旅費分が次年度使用額となった。感染状況を考慮しながら次年度以降に執行する。
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Research Products
(5 results)