2021 Fiscal Year Research-status Report
An exploration of the factors that influence distribution pattern of ectomycorrhizal fungi with special emphasis on dispersal limitation and host preference
Project/Area Number |
20K06796
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 博俊 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (10635494)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 外生菌根 / 共生 / 全球分布 / 生物地理 / 熱帯林 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東南アジアの低地熱帯林と山地熱帯林において採取した外生菌根菌の全球分布を比較することによって、外生菌根菌と共生する宿主樹種が外生菌根菌の全球分布にどのような影響を与えるのかを評価することを目的としている。本年度の研究では、サラワク生物多様性センターの研究者らの協力を得て、マレーシアサラワク州のクバとグヌンガディンの低地フタバガキ林において土壌コアを採取し、実態顕微鏡下で外生菌根サンプルの選別を行った。得られた外生菌根サンプルは、洗浄した後、冷凍で保存している。現在は、現地においてハイスループットシーケンサ―による塩基配列解読を行う準備を進めている。また、昨年度に引き続き、マレーシアの半島部で得た外生菌根菌の子実体サンプルから全球分布の推定を行う解析を進めている。昨年度よりもサンプル数を増加させ、分布推定モデルの改良を行ったが、得られた結果についてはおおよそ同じものが得られている。すなわち、低地熱帯林の外生菌根菌の全球分布は、低地熱帯林の優占樹種であるフタバガキ科樹種の分布によって強く制約されているという結果が得られた。また、山地熱帯林の外生菌根菌の全球分布は、山地熱帯林の優占樹種であるブナ科樹種の分布によって強く制約されており、低地に比べてより強い分散制限の影響が出ていることが示された。これらの結果は、外生菌根菌では一般的に宿主樹種の分布によって全球分布が強く制限されていることや、宿主樹種の分布域が分断化されることによって分散制限の影響が出やすくなることを示している。今後は、外生菌根サンプルの解析の結果も併せて、これらの傾向についての検証を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、現地のカウンターパートの協力を得て、予定していたマレーシアサラワク州での調査を行うことができた。とはいえ、コロナ禍における海外渡航制限による影響から、当初の予定に比べるとマレーシアにおける野外調査計画はやや遅れており、実施できたのは予定していたもののごく一部であった。また、DNA解析や分布推定のモデリングを行うまでには至っていないのが現状である。しかしながら、小規模とはいえ、現地での野外調査を進められたのは大きな進展であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、マレーシアサラワク州での野外調査をより進めていく予定である。特に、山地熱帯林での調査は行えていないので、カウンターパートの協力を得ながら、可能な限り早期に実施をしたいと考えている。調査が完了し次第、すべてのサンプルに対してハイスループットシーケンサ―による塩基配列の解読を行い、その上で外生菌根菌の全球分布の推定を行うベイジアンモデリングを行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度はマレーシアサラワク州において野外調査を行ったが、申請者本人は渡航していないことや、DNA解析を進める段階にまでは至っていなかったため、これらの旅費や実験に関わる消耗品費用に関して差分が生じた。コロナ禍による海外渡航制限も徐々に緩和されてきていることから、次年度には、より本格的にサラワク州での野外調査を行い、DNA実験を進めていく計画にしている。
|
Research Products
(1 results)