2022 Fiscal Year Research-status Report
An exploration of the factors that influence distribution pattern of ectomycorrhizal fungi with special emphasis on dispersal limitation and host preference
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20K06796
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 博俊 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (10635494)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 外生菌根 / 宿主特異性 / 生物地理 / 熱帯 / 分散制限 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、東南アジアの低地熱帯林と山地熱帯林において採取した外生菌根菌の全球分布を比較することによって、外生菌根菌と共生する宿主樹種が外生菌根菌の全球分布にどのような影響を与えるのかを評価することを目的としている。本年度の研究では、サラワク生物多様性センターの研究者らの協力を得て、マレーシアサラワク州のランビルヒルズ国立公園とサンツボン国立公園の低地フタバガキ林において、菌根サンプルの採集を行った。その後、得られた菌根サンプルに対して、イルミナ社のハイスループットシーケンサ―を用いて菌類のバーコード領域の塩基配列を決定した。分析の結果、合計102個の外生菌根菌の操作分類群(OTU、近似的な種)が得られたので、これらについて97%以上の類似性をもつ配列(共通する操作分類群)を国際塩基配列データベースで検索した。さらに、これらの操作分類群の全球分布を推定するため、rstanを用いたベイズモデリングによって、共通する操作分類群が存在する確率とデータベースへの配列の登録確率を国ごとに推定した。その結果、サラワク州で得られた外生菌根菌の全球分布は、フタバガキ科樹種の種多様性が高く、年間累積降水量の多い東南アジア諸国に集中して分布する傾向が明らかになった。この結果は、外生菌根菌ではその全球分布がより分散能力の低い宿主樹種の分布によって強く制約され、地域独自の群集を形成しやすいという本研究の当初の予測を支持する結果である。今後はマレー半島で得られた外生菌根菌の子実体サンプルの結果も併せて、この傾向についての検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、本年度中にすべての調査および分析を完了させる予定であったが、コロナ禍による制限があったことで、予定よりも調査の開始時期が遅れ、調査回数も少なくなってしまったことによって、必ずしも十分なデータ量が得られていない。得られた結果の信頼性を高めるために、特にサラワク州では、追加調査および追加実験が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず、マレー半島の子実体サンプルを用いて得られた結果について、学術論文としてまとめ、報告する予定である。また、サラワク州では、本年度と同じ調査地に置いて追加調査を行うことを予定している。得られたサンプルはハイスループットシーケンサーを用いて配列決定をした後、すでに得られた結果と併せて、ベイズモデリングによる全球分布をする予定である。これらについても、結果がまとまり次第、学術論文として報告する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度までに行ったマレーシアサラワク州の調査では、コロナ禍による渡航制限もあり、十分なデータ量が得られなかった。この補填を行うため、次年度において、サラワク州での追加調査を及び追加実験が必要である。次年度使用額はこの計画の遂行のための経費として計上している。
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Research Products
(1 results)