2021 Fiscal Year Research-status Report
鹿児島県馬毛島沖の深所性紅藻生態系の多様性と生理生態特性の解明
Project/Area Number |
20K06797
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 雅大 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 特命助教 (30637088)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 深所性紅藻 / 馬毛島沖 / DNAバーコーディング / 分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,鹿児島県馬毛島沖にて2021年5月,6月,10月にドレッジ調査を実施したが,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のため,鹿児島大学水産学部練習船「南星丸」への乗船は自粛し,調査は鹿児島大学のスタッフのみで行われた。採集したサンプルを送付して頂き,195サンプルについて,遺伝子解析,形態観察,標本作製を実施した。内,134サンプルは,rbcL遺伝子とcox1遺伝子の塩基配列を決定し,DNAバーコーディングを行った。確認出来た種は累計134種となり,2020年度より38種増えた。作製した標本は国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈した。 1965年に馬毛島沖で採集,記載された紅藻シンカイヒメダルス(Rhodymenia prostrata)を原記載以来約50年ぶりに確認した。26S rDNA, rbcL, cox1の塩基配列を用いた遺伝子解析において,カサネイツツギヌ属(Halopeltis)のクレードに含まれること,体の内層に小形の細胞を持つこと,嚢果の内腔に粘液物質を持つことから,シンカイヒメダルスをマサゴシバリ属(Rhodymenia)からカサネイツツギヌ属に移した。Halopeltis prostrata G.W. Saundersという種が既に記載されているので,H. tanakaeとして新名を提唱した(Suzuki & Terada 2021, Phycologia)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,鹿児島県馬毛島沖におけるドレッジ調査に基づいて行われるものだが,2021年度においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行状況が改善せず,練習船に乗船することが出来なかった。調査自体は鹿児島大学のスタッフによって実施され,サンプルを入手することが出来たので,DNAバーコーディングと分類学的研究は概ね計 画通りに進められている。しかし,生育環境や光合成活性の測定などは実地調査が不可欠であり,2021年度もデータを得られなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は,引き続き分類学的研究を行うとともに,DNAバーコーディングの結果をまとめ,馬毛島沖の深所性紅藻フロラリストを作成する。ドレッジ調査への参加が可能になり次第,実地調査の計画を立て,調査を実行する。
|
Research Products
(3 results)