2023 Fiscal Year Annual Research Report
鹿児島県馬毛島沖の深所性紅藻生態系の多様性と生理生態特性の解明
Project/Area Number |
20K06797
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
鈴木 雅大 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 特命助教 (30637088)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 深所性紅藻 / 馬毛島沖 / DNAバーコーディング / 分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,これまでに採集したサンプルの内,遺伝子配列を決定できていなかった,22サンプルについて,遺伝子解析,形態観察,標本作製を実施した。また,馬毛島沖のサンプルとの比較のため,房総半島,兵庫県淡路島,愛媛県松山などで採集したサンプルの遺伝子解析を実施した。作製した標本は国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈した。 rbcL遺伝子とcox1遺伝子の配列を決定した馬毛島沖産の紅藻サンプルは,累計264サンプルとなり,既知種との比較のため,他地域で採集した紅藻104種107サンプルを加え,分子系統解析を実施した。最終的に確認出来た種は145種となり,145種の内,既知の日本産種に同定出来たものは26種,日本新産となる種は10種,形態的には既知種に相当するが遺伝的に異なっていたものは28種,遺伝子配列,形態的特徴が共に既知種に該当せず,未記載,未報告と考えられるものは81種となった。未記載,未報告と考えられるものについては,新種あるいは日本新産種である可能性が高いと考えられる。遺伝子解析の結果,日本新産と考えられた10種について,詳細な形態観察を行い,各種の原記載および既報の情報と比較した。 上記の結果を馬毛島沖の紅藻フロラの最終的なまとめとし,遺伝子配列の登録,論文執筆を進めている。標本については研究期間中に作成した全ての標本を国立科学博物館植物研究部標本庫に寄贈し,標本番号を付与した。日本新産と考えられる10種については,遺伝子解析と形態観察に基づき,新産報告を進めている。
|