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2023 Fiscal Year Research-status Report

ヤスデ類におけるミュラー型擬態環の形成、消失、移行をもたらす進化機構の解明

Research Project

Project/Area Number 20K06799
Research InstitutionKumamoto University

Principal Investigator

田邊 力  熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (30372220)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2025-03-31
Keywords擬態 / ヤスデ / ハエ / 警告色
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では、ミドリババヤスデ種複合体が東海・関西地方で示す、ミュラー型擬態を含む警告色の地理的モザイク多様化パターンを創出する進化メカニズムの解明を主要な目的の一つとしている。ミュラー型擬態では、種間で類似の警告色の進化が促されるが、それにも係わらず警告色に多様性が生じていることは注目されるところである。
本件において、寄生バエ類の影響に着目し、得られたデータを整理し、ヤスデ体色の反射波形を用いた系統比較法を含む各種の解析を実施することで、次の結果を得た。(1)ハエ寄生率はオレンジ度の低い(灰、中間色)ヤスデで高い (2)ハエに寄生されたヤスデの半分以上(50%から71%) がハエ寄生で死ぬ 。(3)ハエ寄生率はヤスデ集団あたり0%から45%で地理的にばらつく 。(4)ハエ寄生率は時間的に安定する。これらの結果から、地理的にばらつく(3)、 一部の灰色、中間色のヤスデ集団 に対し(1)、ハエ寄生は生存率を大きく下げる(2, 3)継 続的な選択圧としてはたらき(4) 、ヤスデ体色の灰色・中間色からオレンシジへの移行を促しているのではないかとの結論を得た。
併せて、系統比較法を用いて、ミドリババヤスデ種複合体の警告色進化における警告色の進化パスを解析し、上記の寄生バエ類の解析結果を組み合わせると、ヤスデ警告色の灰色とオレンジの間、及び中間色とオレンジの間の移行については、ハエ類の捕食寄生が影響していると考えられた。
これらの結果は、ミュラー型擬態を含む警告色の多様化に、新たなメカニズムを提唱するものであり、その成果については、第71回日本生態学会大会にてポスター発表を行った。
上記と並行して、本研究課題の最初の論文の執筆に取り組んだ。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究課題では、ヤスデ類の分布、体色解析、系統解析、ヤスデに寄生するハエ類の寄生解析等、多方面の項目について、時間と労力をかけてデータを得て解析する必要があった。

Strategy for Future Research Activity

雇用の活用:本研究課題では、最初の論文の執筆に入っており、図表の作成に係わるデータ整理等で雇用による技術支援を活用する。

Causes of Carryover

(1)次年度使用額が生じた理由:当初は、成果の発表で参加した2024年3月開催の第71回日本生態学会大会への旅費(熊本から横浜間の往復)を本助成金から執行する予定であったが、発表がオンラインとなったため、開催地への移動を取りやめ、その旅費にあたる分の助成金が未使用として残った。
(2)使用計画:本研究課題では、最初の論文の執筆に入っており、そこでの図表の作成に係わるデータ整理等にて雇用による技術支援に本助成金を使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Presentation (1 results)

  • [Int'l Joint Research] バージニア工科大学(米国)

    • Country Name
      U.S.A.
    • Counterpart Institution
      バージニア工科大学
  • [Presentation] ハエ類捕食寄生がヤスデ類で見られるミュラー型擬態を含む警告色多様化に与える影響2024

    • Author(s)
      田辺 力・本間 淳・曽田貞滋
    • Organizer
      日本生態学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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