2021 Fiscal Year Research-status Report
異数化が関与すると推定される“無性時代”酵母の多様性獲得の仕組みの解明
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20K06801
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
高島 昌子 東京農業大学, その他部局等, 特命教授 (20333304)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Cutaneotrichosporon / C. cavernicola / ハイブリッドゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度ドラフトゲノム解析を行った担子菌酵母Cutaneotrichospoon cavernicola(Trichosporonales目、担子菌類ハラタケ亜門)の解析を進めた。供試した6株は、Illuminaシーケンサーによるショートリードの解析において、5株のゲノムは約20Mbである一方、残りの1株のゲノムは約40Mbと大きかった。ゲノムサイズが大きい1株についてはPacBioによるロングリードの解析を行い、品質のよい配列を得た。また、RNA-Seqに基づいたアノテーションを行い、交配型遺伝子座を調べた。その結果、全株とも交配型遺伝子座の存在が確認された。また交配型遺伝子領域から近縁種であるC. oleaginosumのフェロモンペプチドやフェロモンレセプターと類似度の高い配列が2種類ずつ得られた。これらの配列を用いて系統樹を作成すると、本種は2つのグループに分かれた。興味深いことに、ゲノムサイズが大きかった株ではこの両方の配列を有していた。Trichosporonales目では、これまでにTrichosporon属で2株、Cutaneotrichosporon属で3株のヘテロザイガスゲノムが公開されていることから、本株もヘテロザイガスゲノムと推定された。本内容を、日本農芸化学会2022年度大会で報告した。 また、担子菌酵母Rhodotorula toruloides および関連菌を含むSporidiobolales目酵母についても解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたセルソーターを用いた細胞周期の観察はあまり進んでいないが、未だ生活環や交配現象が確認されていない担子菌酵母の種において、ハイブリッドゲノム株、およびその両親と推定できる株が得られたため、今後の多様性獲得の仕組みの解明に貢献できると推定し、おおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は最終年度であるため、Cutaneotrichospoon cavernicolaの系統学的位置や交配型遺伝子の解析、ハイブリッドゲノム等をインフォマティクス解析と細胞生物学的解析の両方を用いてまとめ、〝無性世代”酵母の多様性獲得の仕組みの一端を明らかにしたいと思っている。
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Causes of Carryover |
2021年度分として当初想定していた1,300,000円はほぼ全額を使用したが、前年度未使用の分があったため、次年度使用額が生じた。2022年度はこれらも含め、特にハイブリッドゲノム株の解析を分子生物学的および細胞生物学的解析も含め行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)