2021 Fiscal Year Research-status Report
モンシデムシをモデル生物とした両親による子の保護の進化要因の解明
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20K06808
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 誠治 北海道大学, 農学研究院, 農学研究院研究員 (00467086)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行動生態 / 親による子の保護 / 親子推定 / 家族内コンフリクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はモンシデムシをモデル生物として 1) モンシデムシのオスは保護に参加することで父性を高めることができるか、2)幼虫およびメス親はオスにどのように働きかけ、オスはどのように反応するか、3) メスのみが原始的な子育てを行う近縁種コクロシデムシでは2.のような行動が見られるか、の調査を通じて、進化的に不安定とされる両親による子の保護がなぜ、どのように進化し、現在も維持されているのかを知ることである。 1)を行うためにすでに開発したマイクロサテライトDNA プライマーを用い、野外における両親による子育てと母親のみによる子育てでトスの不正のばらつきを検証しようとしている2021年度まででに必要なDNAサンプルはほぼ集まり、解析を開始した。結果の分析は2022年夏までに完了する予定である。 2)については他の研究グループがすでに化学信号によるコミュニケーションを報告したため、やや計画を変更して化学信号を前提としてその信号が両親のとき、メス親のみのとき、オス親のみのときで比較することとし、実験が進行している。3)は新型コロナによる影響で遠距離への採集ができずコクロシデムシの充分なサンプルが集まっていないため、2022年に実施できるか検討しているところである。 また、実験の副産物としてメスの体へのダメージが次回以降の産卵に与える影響のデータが得られた。これは本研究の目的では無いものの興味深い結果なので、報告を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3つの目的のうち、1つは順調に推移している。1つは他のグループにより同様の結果が報告されてしまったため、多少計画を変更している。もう一つは新型コロナによる影響で遠隔地への採集ができず、サンプルが入手できないため、まったく進展していない。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの目的のうち、1つは順調に推移しており夏頃には完了予定。1つは多少計画を変更して進行しており、むしろ立地点が進んだと前向きにとらえて実験を行える。もう一つは新型コロナによる影響をみながら行う予定で、状況次第ではこれは行わず残り2つに注力する可能性もある。
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Causes of Carryover |
新型コロナによる影響で学会、研究会、遠隔地への採集などの旅費を使用しなかったため。次年度以降は移動が可能になるはずなので使用するのと、一部は実験消耗品とする。
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