2023 Fiscal Year Annual Research Report
モンシデムシをモデル生物とした両親による子の保護の進化要因の解明
Project/Area Number |
20K06808
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 誠治 北海道大学, 農学研究院, 農学研究院研究員 (00467086)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 親による子の保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) モンシデムシのオスは保護に参加することで父性を高めることができるか、2)幼虫およびメス親はオスにどのように働きかけ、オスはどのように反応するか、3) メスのみが原始的な子育てを行う近縁種コクロシデムシでは2.のような行動が見られるか、の調査を通じて、進化的に不安定とされる両親による子の保護がなぜ、どのように進化し、現在も維持されているのかを知ることである。 1)を行うためにすでに開発したマイクロサテライトDNA プライマーを用い、野外における両親による子育てと母親のみによる子育てでオスのばらつきを検証した。結果の分析は完了し、現在論文を準備している。メスのみの子育てに比べオスがいると父性の偏りが強くなり、Suzuki(1013)の仮説を支持した。またメスによる托卵も多数発見され、オスの存在が托卵を防げていないことも明らかになった。2)については他の研究グループがすでに化学信号によるコミュニケーションを報告したため、実験を中止した。3)は新型コロナによる影響で遠距離への採集ができずコクロシデムシの充分なサンプルが集まらず、中止した。 また、実験の副産物として闘争による体へのダメージが次回以降の産卵に与える影響のデータが得られた。オスの体が傷ついたときはメスの産卵数が減り、メスの体が傷ついたときは産卵数が増えた。これはdiffiential allocationを支持する結果であり、本研究の目的では無いものの興味深い結果なので、報告を準備している。
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