2020 Fiscal Year Research-status Report
カエデチョウ科を中心とする鳥類の目の顕著性進化に関わる種間比較および行動学的検討
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20K06809
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
相馬 雅代 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (00578875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鳴禽類 / 性的信号 / 顔 / 性淘汰 / 進化 / 眼状紋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,鳥類の目付近の形態形質の多様性に焦点をあて,その視覚信号としての進化要因解明を目指している.初年度は,当初の計画通り,(1)種間比較アプローチおよび (2)行動学アプローチの双方から以下のような検討をおこなってきた.
(1)種間比較アプローチにおいては,カエデチョウ科鳥類を対象とした系統種間比較解析をおこなった.具体的には,虹彩・eye ringの皮膚・周囲の羽の3つの部分の色の組み合わせによって目の顕著性が異なることに着目し,これらの数値指標化を試みた.社会性や性淘汰の顔付近の視覚特徴への影響はしばしば無脊椎・脊椎動物で報告されるため,同様の予測をもって系統種間比較解析をおこない,目の顕著性の高さと相関する要因の探索をおこなった.しかし,群性との関連はみられないだけでなく,他の性淘汰信号との相関も薄く,社会性および性淘汰圧どちらとも顕著な関係性はみられなかった.
(2)行動学アプローチでは,特にeye ringの膨らみと色鮮やかさで知られるカエデチョウ科鳥類の一種,ブンチョウに焦点をあて,つがい形成の推移とeye ringの形態変化の関連を検討した.その結果,雌雄がつがいを形成して時間が経過するにつれ,雌雄どちらも eye ringの膨らみがより顕著になることがわかった.なお,この変化に明瞭な性差はみられなかった.おそらくこの変化は,繁殖期に生理的コンディションを反映しておこると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の2本柱であった,(1)種間比較アプローチおよび(2)行動学アプローチともに,どちらも,予定通りに研究を遂行しており,なおかつ1年目の成果としては十分な知見を得ている.それは,学会発表にも明らかである.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果からは,カエデチョウ科鳥類の目の顕著性進化に関わる決定的な要因はいまだ明らかにできていない.この理由として,二つの可能性が考えられる.たとえ近縁種内であっても,異なる種では異なる進化要因が目の顕著性に関わっている可能性は十分ある.あるいは,近縁種の目の顕著性進化を説明する共通要因があったとしても,いまだそれを見いだせていない可能性もある.いずれにしても,この問題を掘り下げるためには,種内個体間変異に焦点をあてた研究から示唆を得ることができるだろうと期待されるため,そのように研究を推進していく.
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Causes of Carryover |
2020年度国際学会での研究成果の発表を予定し,渡航費用を想定していたものの,新型コロナウィルスに関わる世界情勢により,当該の学会が2021年度に延期になったため,次年度使用額が生じた.当該の学会は対面での開催を予定しているため,本来の計画通り渡航費用として使用する計画である.
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Research Products
(8 results)