2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06811
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
堂囿 いくみ 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70462489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 形質置換 / 繁殖干渉 / 送粉生態学 / 雑種形成 / 遺伝的変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
種間の繁殖干渉によって生じる生殖的形質置換は,種分化や多種共存の重要な要因である。形質置換は交配前の段階に生じることが多いが,交配後・接合前の段階に生じる場合も報告されつつある。しかし,形質置換が生じる段階がなぜさまざまなのか,どのような要因によってもたらされるのかについては,研究例が少 ない。本研究では,イヌヤマハッカ(シソ科ヤマハッカ属)と近縁2種それぞれとの共存域における繁殖干渉と生殖的形質置換を明らかにし,多様な形質置換の背景にある生態学的,進化学的プロセスを検証することを目的として研究をおこなった。 長野県北部にて,イヌヤマハッカとクロバナヒキオコシの同所的集団および単独集団において,異種交配および混合花粉交配時の花粉管伸長を解析するため,受粉実験をおこなった。これまで同所集団を3集団,単独集団を3集団にて実験を終えた。新規集団については,訪花頻度の観察と交配実験(異種交配と混合花粉交配交配)による種子生産を評価した。これまでの研究で,同所集団では雑種形成率が低くなる傾向があり,形質置換が生じている可能性が考えられている。花粉管伸長については,同所集団と単独集団で同じ傾向が得られた。異種花粉の花粉管伸長は同種花粉に比べ減少するが,種子生産に足りる数の花粉管が雌しべ基部まで伸びていた。雑種種子の形成は,花粉発芽や伸長数が抑制されるのではなく,受精または受精後に種子形成を止める何らかのメカニズムがあると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
自然災害による林道の通行止めのため,単独集団の解析が遅れている。1集団のみ新規集団を見つけることができたが,すでにあるデータを使用できず,あらためて最初からデータを取り直す必要があった。また,東京奥多摩地域でもイヌヤマハッカとセキヤノアキチョウジの解析を栽培株を用いて進める予定であったが,長野の調査に時間を要し,未だ調査を開始できていない。 人手不足により,野外調査,室内実験ともに非常に遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
林道通行止めのため調査できなかった集団は,今年林道が開通予定であるので,調査を再開する。また,奥多摩地域については,栽培株を用いて実験を進められるか検討する。人手不足の解消は非常に難しいが,アルバイトなどでできるだけ作業を進められるよう努力する。
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Causes of Carryover |
アルバイトのなり手がおらず,人件費として使用計画と実際の使用額に差が生じた。
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