2022 Fiscal Year Annual Research Report
群れを形成する魚類における配偶システム・性様式の可塑性に関する研究
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20K06823
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
須之部 友基 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (00250142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久米 元 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (00554263)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 性転換 / 配偶システム / 性比 / 雌性先熟 / ハタ科 / アカオビハナダイ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度から令和4年度にかけて鹿児島湾桜島周辺においてハタ科アカオビハナダイの性様式と繁殖行動について研究してきた.これまでの研究で本種が雌性先熟,雄の一部が一次雄,繁殖期が5月から10月,中型群(42-180個体;雌:雄=5:1)あるいは大型群(10,000個体;7:1)を形成,配偶システムは一夫多妻であることがわかってきた(個体数が10個体以下の小型群は観察しなかった).今年度は最終年度に当たるのでこれまで研究で明らかにできなかった点を重点的に研究した.すなわち,耳石による年齢査定,大型群における配偶システムおよび一次雄が出現する条件を明らかにすることを目的とした. 大型群は大きな岩の周辺に形成され,深さ20-30mに渡って分布した.における配偶システムは中型群と同様に一夫多妻であった.雌および大型雄は水深20-23m付近で群れ小型雄は24-30mに縄張りを形成した.そのため小型雄の繁殖成功は大型雄に比べて低かった. 本種は多くの個体が雌として機能した後,52-79 mm SLで性転換して雄となる.耳石による年齢査定では2-3歳で性転換する.しかし,1歳の小型雄が9個体確認された.これらの個体は雌として成熟する前に雄となった一次雄と考えられる.アカオビハナダイの雄は産卵に至る求愛行動の他に,産卵を伴わない仮求愛を頻繁示す.これは雌の性転換を抑制する機能を持つと考えられ非産卵期にも観察された.また,一次雄は大型群でのみ出現した.仮求愛の頻度は中型群と大型群とでは差が無かったが,大型群では性比が偏っているため雌や未成熟個体への仮求愛頻度が低下し,結果的に一次雄が出現したと考えられる.
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Research Products
(13 results)