2020 Fiscal Year Research-status Report
画像解析と群集メタバーコーディングによる統合的生物多様性モニタリング法の開発
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20K06824
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
藤澤 知親 滋賀大学, データサイエンス教育研究センター, 助教 (10792525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 哲史 京都大学, 理学研究科, 助教 (10643257)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 画像解析 / 群集生態学 / メタバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではDNAメタバーコーディングと画像解析技術を組み合わせた昆虫群集のモニタリング手法をを開発することを目的としている。2020年度にはメタバーコーディングを行う昆虫群集のサンプリングと写真撮影を計画していた。しかし当初選定した京都市内の調査地への往来がコロナウイルスのため難しくなったため年度内のフィールド調査は断念した。その代わりとして滋賀県内の地域を新たに調査地として選定し予備調査を行った。
フィールド調査が行えなかったため、計画を変更し2020年度には機械学習による画像解析の手法の開発と評価を進めた。まず既存のデータおよび共同研究者から提供された昆虫の画像の分類をおこなった。深層学習の画像分類は、バルク状態(標本のように整列されていない状態)の昆虫サンプル写真の分類において、科レベルでの分類が95%程度の正解率でおこなえることがわかった。この深層学習の分類精度は概ねこの研究で求められる水準の正確さを満たすことができた。また画像の品質や撮影方法(顕微鏡による撮影・デジタル一眼レフによる撮影・深度合成の有無など)の影響を検証し、将来の写真撮影の方法の最適な方法を検討した。以上の研究結果の内容を論文として執筆中であり、2021年度に投稿する予定である。
加えて画像分類を実際の群集データに適用するときに起こる問題点について検討を行った。とくに、分類されるデータが学習データに含まれないときにどのようなふるまいをするか、それらを事前に発見する手法について検討をはじめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの影響でメタバーコーディングを行う昆虫群集のサンプリングが遅れている。機械学習の手法は当初の予定通りの正確さを確認できている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの影響が続いているため、当初予定の京都でのサンプリングは中止し、移動のリスクが少ない滋賀県内の新たに選定した調査地で昆虫群集のサンプリングをおこなう。今年度の予算でUSB顕微鏡カメラを購入し、サンプルの撮影を年度中に行う予定である。撮影後の標本はDNA抽出を行い、来年度にメタバーコーディングを行う。
また、前年度の解析でわかった分類アルゴリズムの様々な問題点について改善する手法を開発する。とくに学習データに含まれていないデータが入力されたときにどのような解答を返すか、すなわち分類外データの処理、は実用上重要なテーマなので、この点に着目して手法を検討する。滋賀大内の機械学習の専門家と共同しアルゴリズムの選定と改善を行う予定である。機械学習に必要な計算資源(GPUなど)を必要に応じて購入する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響によるフィールド調査と画像取得の遅れのため、2020年度は予定していた野外調査や撮影機材の購入などを行わなかった。本年度はフィールド調査・画像解析を予定どおりに進めるために翌年度分として請求した。
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Research Products
(1 results)