2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K06826
|
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
舞木 昭彦 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (00626343)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 生物リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地球の回転に関連した“生物の時間的リズムの多様性”に着目し、日・月・年における生物の活動周期によって変動する生物相互作用が生態系の安定性にどのように関係しているのかを数理モデルを用いて明らかにし、従来のネットワーク構造に縛られない新しい生態系維持機構を提唱することを目的としている。昨年度は、初期に開発した「活動リズムの多様性と生物群集動態の関係」の研究をベースに、「活動リズムの適応的変化」を考慮した理論を開発し、季節的な活動変化が表現型可塑性や進化によって捕食被食の共存に対する影響を研究したが、本年度はさらに、より複雑な群集において活動リズムの適応的変化がどのような効果を持つのかを詳細に調べた。その結果、群集の複雑性(種数や相互作用の数)が多いほどより共存が促進されることがわかった。これは、季節適応がないモデルでは生じ得ないものであり、生態学の大問題の一つである複雑性―安定性パラドクスを解消する一つの仮説になると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本成果は、すでに開発した数理モデルをベースにしたものであり、研究調査に迅速に着手することができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでのモデルでは、空間的に限られた局所群集を想定している。より一般的な理論にするために、生息地間の生物移動に見られるリズムおよび生息地間の活動リズムの変異を考慮したモデルへ拡張する。このことにより、時間的なリズムだけでなく空間的なリズムも同時に生じることになる。本研究によって、活動リズムの多様性と生物群集動態の安定性の関係を一般化するだけでなく、空間生態学と時間生態学をつなぐ“時空間生態学”の萌芽を試みる。
|
Causes of Carryover |
計画していた研究計画が思いの外すすまず、想定していた物品などを購入する必要がなかったため
|
Research Products
(3 results)