2020 Fiscal Year Research-status Report
基質応答現象に基づく海底下微生物機能性遺伝子の探索と同定
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20K06828
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
若松 泰介 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 准教授 (60597938)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸野 祐樹 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30421845)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海底下微生物 / 遺伝子 / 基質応答 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
下北半島沖海底下コア試料 (KY11-E06航海、深度: 0-5, 20-25 cm) と上越沖海底下コア試料(NT-13-15航海、深度: 0-10, 10-20, 20-30 cm)を環境試料、大腸菌MegaX DH10B T1Rを宿主、発色団の形成に酸素分子を必要としないevoglowをレポーター遺伝子としたSIGEXライブラリーを作製した。作製の際、①NucleoMag NGS Clean-up and Size Selectによる長鎖DNA(>800bp)の選択的回収、②カラム(DNA Clean & Concentrator-5 Kit)によるDNA濃縮、③TOPOライゲーション時のインサート濃度の検討、を行なった。その結果、作製ライブラリーの挿入断片の平均長は2kbpであり、クローンバリエーションは>2.1x10^6だった。また、それぞれのメタゲノムを用いて16S rDNAアンプリコンシークエンスを行なったところ、Desulfobacterotaが優先的な門の一つであった。次に、KY11-E06_0-5ライブラリーとNT13-15_0-10ライブラリーを対象に、有機化合物(安息香酸、3-クロロ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、フェノール、2,4-ジクロロフェノール)と金属イオン(MnCl2, NiCl2, CoCl2)による基質誘導解析を行なった。有機化合物については好気/嫌気両条件下、金属イオンについては好気条件下でのみ解析を行なった。更に、KY11-E06_0-5ライブラリーから嫌気条件下でのみ3-クロロ安息香酸に応答する陽性クローンの単離、挿入断片(1114bp)の塩基配列に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機化合物を誘導基質とした場合、両ライブラリーともに好気/嫌気両条件下ともハロゲン化合物に対し高い誘導を起こすことが明らかとなった。特に、好気条件下で2,4-ジクロロフェノールに非常に高い誘導(>4.7%)を示した。金属イオンを誘導基質とした場合も、好気条件下で高い誘導(0.1-1.4%)を起こすことが明らかとなった。これらの結果より、今後大量の応答遺伝子の取得が期待出来る。また、3-クロロ安息香酸に対し、嫌気条件でのみ誘導を示すクローンの単離に成功し、今回開発を行った嫌気条件下でのSIGEX解析が海底下微生物遺伝子や他の環境で生存する嫌気性微生物遺伝子の機能同定に有効であることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
KY11-E06_0-5ライブラリーとNT13-15_0-10ライブラリーを対象とした際に高い誘導割合が示された2,4-ジクロロフェノール、MnCl2、NiCl2、CoCl2を用いた好気条件下での誘導、単離を行い、これらの陽性クローンの大量取得を目指す。その後、挿入断片の配列同定、ゲノム上での周辺配列の同定を行う。また、基質応答特異性解析もあわせて行う。また、他の3ライブラリーの解析も行う。
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Causes of Carryover |
高い誘導割合を示すことが明らかとなった好気条件下での2,4-ジクロロフェノール、MnCl2、NiCl2、CoCl2に対する陽性クローンのFACSを用いた単離について、2020年度内に行うことが出来なかったため、次年度の予算へ回す。
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Research Products
(1 results)