2021 Fiscal Year Research-status Report
恐怖情動バイアスが駆動する警告色の社会学習モデルの検証
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20K06831
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Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
持田 浩治 長崎総合科学大学, 総合情報学部, 准教授 (60583474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宏司 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 助教 (70723211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 警告色 / 擬態 / 社会学習 / 恐怖学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,捕食者の直接的な学習経験だけでなく,他者の行動をモデルとして観察する学習が,被食者の不味さや危険さと関連した目立つ体色を創出・維持するという警告色の社会学習モデルの妥当性を検証することを目的とする.そのために,様々な分類群(魚類,両生類,爬虫類,ヒトを含む霊長類)を対象にした認知学習実験を行うことで,モデルの汎用性を検証する.昨年度までに魚類(ゼブラフィッシュ),両生類(ダルマガエル),霊長類(ニホンザル)において,赤黒縞模様刺激に特異的に,恐怖情動が想起することを明らかにした. 今年度は,魚類(ゼブラフィッシュ)を用いた実験デザインをより精査し,色(赤)と模様(縞)の効果を分けて,恐怖情動の想起の有無を明らかにした.色の効果を明らかにするために,ゼブラフィッシュにとって赤色と同じように強い彩度の視覚刺激となる紫外色をコントロールに,縦縞模様の効果を明らかにするために,2色の面積比と境界線長を一定にした横縞模様やドット模様をコントロールに実験を行った.その結果,模様の違いの効果ははっきりしないものの、少なくとも赤色に対しては特異的に恐怖情動が想起することが明らかになった.また今年度は,ゼブラフィッシュとダルマガエルにおいて,赤色刺激を介して忌避学習が促進されることも明らかにした.これにより,霊長類,両生類,魚類において,赤色刺激に対して恐怖情動が想起されること,こうした情動想起を利用すると恐怖学習が促進されることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は様々な動物群を研究対象に認知学習実験を計画している.これまでに魚類,両生類,霊長類(ニホンザル) で実験を行うことができており,今年度は実験デザインをより精査し,色と模様の効果を分けた認知学習実験を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの流行状況を踏まえて,フィールドワークの必要な野生霊長類(ニホンザル)と鳥類(ヒヨドリ)の認知実験を行う.またこれまでの研究結果を論文などで公表する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの流行にともない,一部の実験やフィールドワークが行われていないため.
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Research Products
(3 results)