2020 Fiscal Year Research-status Report
網膜の光感度の断続的な回復が概日リズムの光同調に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K06839
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 相逸 北海道大学, 工学研究院, 助教 (70738880)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 室内光環境 / ヒト / 概日リズム / メラトニン / 光感受性 / 断続光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、夜更かし生活や夜間勤務での光曝露による概日リズムの位相後退を改善する方法の提案を目標に、朝の光曝露時に網膜の光感受性を高めることが概日リズムの位相前進を促せるかについて検討することを研究目的としている。概日リズムの位相については、メラトニン分泌時刻(DLMO)について調べる必要があるが、該当ホルモンは夜に分泌し始めるため、寝泊りの実験を実施する必要がある。現在、一人の被験者あたり3泊4日の実験を3回実施することを考えている。具体的に、初日は実験的介入のない日のDLMOについて調べ、続けて翌朝まで光曝露を実施しDLMOの位相後退を引き起こす。二日目は、初日の光曝露によってDLMOの位相がどの程度後退したのかについて調べる。三日目の朝は光曝露を実施し、その日の夜にDLMOがどの程度前進したかについて調べる。三日目の朝の光条件は、薄暗い光条件(前進なし条件)、明るい光を連続的に浴びる条件(連続光を用いた前進条件)、明るい光を断続的に浴びる条件(断続光を用いた前進条件)の三つにする。予想結果として、断続光によって網膜の光感受性が高まれば、薄暗い光と連続光条件時に比べDLMOの位相前進が顕著に表れる可能性が考えられる。しかし、今年度はCOVID-19パンデミックの状況が続いており、感染予防目的で被験者実験を控えていたため、以上のように計画していた実験を実施することが困難であった。そのため、非常に残念ながら、現在のところ特に報告できる研究実績はない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19パンデミックにより、極力被験者実験を控えていたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今のところ、COVID-19の状況はまだ楽観できないが、当初の計画通り、日中の断続的光曝露がメラトニン分泌リズムの位相に及ぼす影響について調べる予定である。COVID-19感染予防対策として、一回の実験に参加できる被験者を1名に制限し、実験当日は「新型コロナウイルス抗原測定キット」でテストを行い、陰性反応を確認した上で実験を実施する。万が一、寝泊りの被験者実験が実施できない場合は、日中の断続的光曝露が網膜の光感受性に及ぼす影響について検討するための比較的に簡単な実験を計画・実施する。
|
Causes of Carryover |
今年度の予算執行の予定では、人件費(被験者謝金、実験補助)、実験に必要な消耗品など購入費、旅費(学会参加、研究打ち合わせなど)などが含まれていた。しかし、COVID-19パンデミックの状況により、被験者実験を極力控えていたこと、またほとんどの学会が中止、またはオンライン開催になったことにより、研究活動に伴う費用がほとんど発生しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
|