2022 Fiscal Year Research-status Report
網膜の光感度の断続的な回復が概日リズムの光同調に及ぼす影響
Project/Area Number |
20K06839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 相逸 北海道大学, 工学研究院, 助教 (70738880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 スミン 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (90600429)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒト / 概日リズム / メラトニン / 光曝露 / 断続光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、夜型生活や夜間勤務による概日リズムの位相後退を改善することを目標に、朝の光曝露時に網膜の光感受性を高めることが概日リズムの位相前進に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。 昨年度(R3)に実施した実験のデータで追加分析を行ったため、その結果について報告する。令和3年度に実施した実験の概要を示す。健康な男子大学生9名を対象に、起床後に断続光、または定常光に曝露した際の概日リズムの位相シフトについて検討を行った。実験は、3泊4日のプロトコルで実施した。1日目は普段の概日リズムの位相を確認(baseline)、2日目は夜更かし(1時~4時に光曝露、500~700 lx)を行い、概日リズムの位相を後退させた。3日目は起床後に光曝露を実施し、概日リズムの位相を前進させた。3日目の朝の光曝露は8時40分から200分間行った。断続光条件では「光曝露(1200 lx)30分+Dim(< 5 lx)10分」を5回実施し、定常光条件では光曝露(1200 lx)のみとした。 追加分析結果について報告する。Dim環境下での唾液中メラトニン濃度を分析し、その分泌開始時刻(DLMO)を概日リズムの位相指標とした。9名のうち5名のDLMOが確定できた。1日目のDLMOを基準に、2日目の夜更かし光曝露はDLMOを約53分遅延させたが、3日目の午前中の光曝露によってDLMOが約37分早まることが確認された。しかし、3日目の各光曝露条件におけるDLMOの間に統計的な違いは見られなかった。これらの結果より、概日リズムの光同調において、断続光による網膜の光感度の回復が定常光に比べてより効果的とは言えない可能性が考えられる。むしろ、断続的光曝露は連続的光曝露と同等なリセット効果を持つことが推察できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、夜間に分泌されるメラトニンというホルモンの濃度を測定する必要があります。そのため、実験室で2泊以上の実験を行う予定です。 今年度(令和4年度)も、新型コロナウイルス感染症の流行が懸念されたため、できるだけ被験者実験は控えていました。
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Strategy for Future Research Activity |
メラトニンの分析を行った結果、9人中4人のメラトニン濃度が検出できなかった。そのため、今年度も引き続き日中の断続的光曝露がメラトニン分泌リズムの位相に及ぼす影響について調べる予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の予算執行計画には、人件費(被験者謝金、実験補助費)、消耗品購入費、旅費(学会参加費、研究打ち合わせ費)などが含まれていましたが、COVID-19パンデミックが続いたため、被験者実験を極力控え、ほとんどの学会がオンラインで開催されたため、今年度の研究活動に必要だった費用は予定よりも少なくなりました。また、データ分析に必要な消耗品が欠品状態が続いたため、適時に購入できなかったこともあります。以上の理由により、次年度に使用額が生じる見込みです。 前年度は、実験データが十分に集まらなかったため、次年度に追加実験を行う予定です。次年度の予算は、被験者謝金、実験に必要な消耗品の購入費、メラトニン分析費用などに使用します。また、学会発表や論文の投稿料として使用する予定です。
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Research Products
(2 results)