2023 Fiscal Year Research-status Report
網膜の光感度の断続的な回復が概日リズムの光同調に及ぼす影響
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20K06839
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
李 相逸 北海道大学, 工学研究院, 助教 (70738880)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 スミン 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 助教 (90600429)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 明暗サイクル / 時間感覚 / 視覚 / 人間 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、サブテーマとして「外界の明暗変化の視覚的情報がヒトの時間認知に与える影響」について研究を行った。健康な成人男女20名(22.5±1.2歳,男:女=9:11)を対象に、「映像なし(コントロール条件)」、「映像あり」、「映像遅延(日没の時間をずらした条件)」の3条件を設け、PC用ディスプレイを介してランダムに呈示した。実験は窓のない密室で実施し、実験中の照度は500 lx(目の高さで鉛直方向)で、相関色温度は5000Kに設定した。被験者によって推定された経過時間を条件間で比較した結果、日没の時間帯で統計的に有意な差が認められ、推定時間は「映像なし」と「映像あり」条件に比べて「映像遅延」条件で有意に短かった。しかし、「映像なし」と「映像あり」条件の推定時間の比較では統計的に有意な違いは認められなかった。この結果から、ヒトの時間感覚は外界の視覚的明暗変化に影響を受ける可能性が示唆された。また、被験者が日常の明暗変化に同調しており、その時間感覚が外界の明暗情報が分からない状況下でも現れた可能性が示唆された。 この成果は、2023年9月に開催された国内学会「日本睡眠学会第45回定期学術集会・第30回日本時間生物学会学術大会 合同大会」で報告し、「日本時間生物学会優秀演題賞」を受賞した。また、2023年9月に開催された国際会議「16th International Congress of Physiological Anthropology」で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行期間中はできるだけ被験者実験を控えたため、全体的な実験スケジュールが遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
メインテーマである「網膜の光感度の断続的な回復が概日リズムの光同調に及ぼす影響」の追加実験を行い、その成果を国内学会や国際会議で報告する。さらに、英文誌に論文を投稿する。
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Causes of Carryover |
次年度には追加実験を予定しており、実験に必要な消耗品の購入と被験者への謝金のために予算を残している。また、国内の学会で研究成果を報告する計画もあり、そのための旅費に予算を使用する予定である。
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