2020 Fiscal Year Research-status Report
随意的な前・後傾姿勢運動時の位置感覚情報への注意と脳の活性化
Project/Area Number |
20K06845
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Research Institution | Kanazawa Gakuin University |
Principal Investigator |
藤原 勝夫 金沢学院大学, 人間健康学部, 教授 (60190089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢口 智恵 日本医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00612300)
外山 寛 金沢学院大学, 人間健康学部, 教授 (10172206)
国田 賢治 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (20316003)
清田 直恵 金沢学院大学, 人間健康学部, 講師 (90559189)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 姿勢 / 注意 / 事象関連脳電位 / 圧中心 / 筋電図 / 前・後傾姿勢運動 / 足指圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
随意的な前傾ないし後傾姿勢運動の反復動作時の注意機能と脳の活性化に対する姿勢運動の難度および運動方向の切り換えの影響を明らかにすることを目的とした。 対象は、健康な若年成人4名とした。被験者は、1秒かけて安静立位位置から前傾ないし後傾し、目標位置で1秒間姿勢保持、次の1秒で安静立位位置へ姿勢を戻し、1秒間安静立位姿勢を保持する、というパターンの運動を繰り返した。目標位置は、前傾が足長の75%位置、後傾が25%位置とした。実験に先立ち、1秒間隔の音刺激と各目標位置を提示するブザーを用いて各姿勢運動の練習を行い、本測定では記憶した速度で、記憶した位置への随意的な姿勢運動を行う。1か所の目標位置への姿勢運動について、10回を1セットとし、各3セット実施した。姿勢運動時の事象関連電位を国際10-20法に基づくCz部位より記録した。また、大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋、母指外転筋の表面筋電図、前後方向の圧中心(CoPap)、および垂直眼球運動を記録した。脳波の加算は、前傾条件ではCoPapの最前方位置、後傾条件では最後方位置をトリガとし、加算区間はトリガ時点の前後2500msとした。加算区間に100μVを超える眼球運動が認められた試行は除外した。 事象関連電位は、前傾・後傾ともに、トリガ時点に向けて陰性に偏倚した。そのピークは、前傾では母指外転筋の活動ピーク、後傾では前脛骨筋の活動ピーク付近に認められた。安静立位時点からの事象関連電位のピーク振幅は、前傾に比べて後傾の方が大きく、急峻に変化した。これは、前傾および後傾姿勢運動における注意の向け方の違いを示していると考えられる。 加えて、次年度以降の検討課題に向けて、個人の足の形状に合わせて、左右5本の足指圧を計測する装置を開発した。さらに、足指ごとの圧力を測定できる装置を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大の影響下にあり、予定していた実験回数を実施できなかった。被験者の確保が困難であったことによる。前傾と後傾で事象関連脳電位に顕著な差が認められることは重要な所見である。今後、これに合わせて、眼球運動反応時間や前頭前野の脳血流量を測定することにより、前・後傾姿勢運動による脳の活性化の指標とする。 多数の被験者を対象とした実験はできなかったけれども、2022年度以降に実施予定であった足指圧の測定器の開発を、繰り上げて行った。この器具は、個人の足の形状に合わせて足指圧を測定できるものである。これによって、足指圧が急増する足圧中心位置と事象関連脳電位との関係を検討できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
前・後傾時の事象関連電位の測定を、被験者15名まで増やして実施する。測定する項目として、足指圧、眼球運動反応時間、前頭前野の脳血流量を追加して実験を行う。 新たな実験課題として、安静立位時に前・後傾運動の指示刺激を示す、選択反応課題を課す。その指示刺激に向けた脳波の随伴陰性変動(CNV)を測定する。この方向指示刺激の2秒前に予告信号を提示する。脳波以外に、大腿直筋、前脛骨筋、腓腹筋、母指外転筋の表面筋電図、前後方向の圧中心(CoPap)、足指圧、眼球運動、前頭前野脳血流量を記録する。 難しい課題での反応動作では、CNVの振幅が増大することが報告されている。課題の難度と安静立位からのCNV振幅の大きさとの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、予定していた人件費(被験者謝金)と旅費の計上を見合わせ、代わりに装置開発等の物品費に充てた。また、1名の研究分担者が約10か月の育児休業を取得していた。以上の理由により、当初の予算よりも少ない支出となった。繰り越された次年度使用額は、人件費および旅費として支出する予定である。
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