2021 Fiscal Year Research-status Report
皮質→海馬トップダウン制御による遠隔記憶形成メカニズム
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20K06849
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金 亮 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (60793916)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シングルセルRNAseq / 記憶エングラム / 長期記憶 / 海馬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海馬機能が時間経過に伴ってダウンレギュレートされることによって、遠隔記憶形成、即ちシステムレベルでの記憶固定化が進むという仮説のもと研究を進めている。海馬機能のダウンレギュレートに重要な分子メカニズムを知るため、本年度は海馬単一エングラム細胞からRNAseqを行うための実験手法の確立を目指した。まず、恒常的に蛍光タンパク質(EGFP)を発現可能なアデノ随伴ウイルス(AAV)を海馬に発現させ、その海馬組織から抽出した蛍光タンパク質発現単一細胞を蛍光活性化セルソーティング法(FACS)によって分離するためのプロトコル確立を目指した。過去の文献を参考にし、生体海馬単一細胞を分離可能な抽出キットを様々試し、最適なキットを見出した。また、単一細胞を含む抽出溶液をFACSに供する際、目的単一細胞である生きたEGFP発現細胞を効率よく分離するために、1)非生細胞または生細胞の核酸を染色するための試薬を抽出液に添加しその際の溶媒の最適化を行った。2)細胞抽出時に産生される細胞以外の破片(デブリ)を除外するためのゲーティングストラテジーの最適化を行った。以上のプロトコル最適化により得られた海馬単一細胞よりRNAを抽出したところ、細胞間にばらつきはあるものの、精製度の高いRNAを調整することに成功した。 海馬エングラム細胞のスパイン密度を人工的に操作するために、チャネルロドプシンをエングラム細胞に発現可能なAAVを作成し、密度操作に必要な条件検討を始めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、単一エングラム細胞からのRNAseqを行うための実験条件確立を優先させた結果、皮質領域を遺伝子操作した際の海馬活動の変化や、海馬エングラム細胞スパイン密度操作によるシステムレベルの固定化に対する役割についての実験をほぼ進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究を遂行するための準備(AAV作成、エングラム細胞のラベル条件、RNAseqライブラリ構築のためのプロトコル)はほぼ終了しており、これらを手法を用いて当初の計画通り実験を行っていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、主にRNAseqに使用する予定であったが、RNAseqを行うことがなかった。また、今年度は予備実験にほとんどを費やしたため、計画していた実験もまた進めることがなかった。次年度に使用額を増やすことによって、予定していた計画を粛々と進めていく。
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