2022 Fiscal Year Annual Research Report
Brain mechanism controlling righty and lefty
Project/Area Number |
20K06851
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹内 勇一 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (40508884)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 左右性 / 学習 / 捕食行動 / 魚類 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年の研究では、捕食行動における利き眼と下顎骨の可塑性について進展があった。 鱗食魚に片眼阻害処理を行って捕食させたところ、襲撃回数は処理前後でほぼ変化はなく、片眼が正常であれば積極的に餌魚を襲撃した。口が大きく開く側の眼(右利き個体の左眼、左利き個体の右眼)を阻害した場合、処理前には9割以上だった開口側からの襲撃が、処理後は5割にまで低下し、捕食成功率も低下した。一方で、開口側とは反対側の眼を阻害した場合は、処理前後で襲撃方向が変化した個体はおらず、処理後も開口側から9割以上襲い、捕食成功率も維持されていた。したがって、開口側の単眼視野が捕食行動にとって重要な利き眼であることが分かった。一方で、開口側の視覚が制限されても襲撃方向が逆転しないことから、本来の襲撃方向を学習している可能性、視覚系以外の高次処理を担う脳領域の関与が示唆された。 つぎに、鱗食経験がもたらす捕食行動および下顎骨の変化を調べた。異なる摂食経験を課すため、採餌条件として餌魚1匹捕食群と2匹捕食群を設け、4ヶ月間毎日、餌魚を10分間与えて飼育した。実験日数と共に各個体の襲撃回数は増加し、実験60日目で最大に達した。さらに、鱗食魚と餌魚を検出可能なニューラルネットワークを構築し、両者の相対位置を可視化したところ、餌魚との個体間距離は実験10日目で実験初期の半分となり、各個体の遊泳量が増加していた。それら2群および鱗食未経験個体(8カ月齢)を用いて下顎骨標本を作製し、骨形態の違いをGeometric Morphometricsで評価した。その結果、鱗食未経験群と比べて餌魚2匹群で歯骨全体、特に前後軸が伸長していたことが分かった。以上より、鱗食経験によって餌魚の認識や運動量に向上がみられ、下顎骨が発達するとともに、その形態的変化は左右非対称で、利き側の下顎骨でより顕著に現れることが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)