2022 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞の形質変化解明と治療応用
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20K06853
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
眞木 崇州 京都大学, 医学研究科, 講師 (70762334)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 脳梗塞 / 血管新生 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞は、我が国が直面する大きな課題の一つである。寿命の延長とともに脳血管疾患は増加し、心疾患と合わせると日本人の死因の第1位であり、後遺症が残り介助が必要となる原因として、認知症と並んで最も多い。 本研究の目的は、脳梗塞において、オリゴデンドロサイトとその前駆細胞(oligodendrocyte precursor cell、OPC)が、どのように神経系、グリア系、血管系を含めた周囲の細胞と相互作用し、病態に関与しているのかを明らかにし、脳梗塞に対する治療応用へと展開する研究基盤を確立することである。 脳梗塞病態と関連して、低酸素環境によってOPCの形質・機能が下記のように変化することを見出した。1)脳梗塞マウスモデルにおいて、大脳皮質領域で血管周囲のOPCが増加し、脳梗塞後の血管新生と連動する。2)高度の低酸素負荷をかけた初代培養系OPCは、血管新生促進因子を多く発現、分泌する一方で、OPC分化因子は低下する。3)高度の低酸素負荷をかけた初代培養系OPCは、in vitro、in vivoのどちらの系においても、血管新生を促進する作用をもつ。4)中等度~軽度の低酸素負荷をかけた初代培養系OPCでは、血管新生促進因子が低下する一方で、OPC分化因子は亢進する。以上のことから、脳梗塞後の領域や時相により、脳内の低酸素レベルが変化することに伴い、OPCの形質や周囲の細胞種との相互連携がダイナミックに変容していく可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的な研究項目は、以下の3つであった。①虚血負荷による初代培養オリゴデンドロサイトの形質・機能変化がその他の細胞種に与える影響を解析する(培養実験)。②脳梗塞モデルにおけるOPCの動態や役割を解析する(動物実験)。③脳梗塞モデルに対するOPC移植または細胞上清を用いた治療の至適条件を検討する(細胞治療)。 上記のうち、①②はほぼ達成しており、③についても、脳梗塞モデルマウスに対して、高度の低酸素負荷をかけたOPC移植をすることにより、脳梗塞後の血管新生が促進され、脳梗塞体積が減少、機能改善が得られることを見出しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、脳内のOPCと他の細胞種の相互連携のみではなく、脳梗塞後の血管系・リンパ管系・免疫系を介する脳-臓器連関の破綻機序を解明し、脳梗塞に対する新規治療法の開発基盤を構築することを目指している。
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Causes of Carryover |
COVID19感染拡大により試薬納品の遅延や研究者の実験スケジュールの予定変更などが生じたため、脳梗塞モデルマウスに対する低酸素負荷OPC細胞移植についての解析目的に使用する。
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Research Products
(2 results)