2022 Fiscal Year Research-status Report
発達期視床におけるヒゲ経験依存的シナプス再編の神経活動依存性の解析
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20K06862
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
河村 寿子 (中山寿子) 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70397181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 視床 / 生後発達 / 神経活動 / DREADDs / シナプス刈り込み |
Outline of Annual Research Achievements |
所属研究室内外の先行論文および未発表データから、PrV2由来の内側毛帯と視床VPmニューロン間のシナプス結合においてマウスの生後12-15日目(P12-P15)がヒゲ抜去に対する臨界期であり、この期間のヒゲ抜去はシナプス強化と刈り込みを障害することが知られていたが、その前後の時期の入力線維PrV2およびシナプス後細胞VPmニューロンの神経活動がPrV2-VPmシナプスの選択的強化と刈り込みに及ぼす作用は不明であった。これまでに、抑制性DREADDs(hM4D(Gi))を発現するAAVを生後0-2日目の新生マウスのPrV2・VPm(シナプス前・後細胞)に発現させ、P8-P11、P12-P15、P16-P19の各期間にCNOを腹腔投与することによって神経活動を時期特異的に抑制し、その後P21以降まで通常飼育したのちに、PrV2-VPmシナプス伝達を電気生理学的に解析した。その結果、P12-P15ではPrV2とVPmいずれの神経活動抑制もシナプス刈り込みを障害したが、P8-P11ではPrV2の活動抑制でのみシナプス刈り込みが障害されるという結果が得られ、PrV2-VPmシナプスの刈り込み過程に、PrV2の活動にのみ依存する時期が存在することが示唆された。しかしながら、P8-P11に行ったVPmの活動抑制の影響が、P21以降のシナプス解析までの期間にマスクされた可能性も考えられたため、P8-P11でのVPm活動抑制直後のP12-P13でシナプス伝達を解析した。その結果、P12-P13においてもシナプス刈り込みが正常であることを確認した。また、発達時期およびPrV2とVPm毎の活動抑制で残存する多重支配シナプスの由来に関する形態学的解析は、DREADDsを発現したPrV2ニューロン由来のシナプス終末を可視化するために新たなAAVを入手して現在も進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度には2020年度に開始したAAVによる抑制性DREADDs発現実験を継続し、先行研究で報告されているヒゲ抜去に対する臨界期以前にもシナプス前・後ニューロンそれぞれの神経活動に依存的なシナプス刈り込みとシナプス強度の増強機構が存在すること、および、臨界期後の神経活動がシナプス強度の維持に役割を担うことを示すデータを得ることができた。条件ごとに残存する多重支配シナプスの由来に違いがあるか否かを検討する形態学的解析は現在も進行中であるものの、論文として投稿準備を行っている。一方で、同時進行中で本課題にも関連するプロジェクトのエフォートが大きくなったため、本課題の進捗が当初計画よりもやや遅れる結果となったことは否めない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、遂行中である神経活動抑制によるシナプス刈り込みを形態学的に評価する実験を行い、DREADDsによる神経活動の解析結果と合わせて研究の総括を行い、学会等で成果報告を行うとともに論文として公表することを目指す。
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Causes of Carryover |
並行して実施中の研究課題の論文化を急ぐ状況が生じたことで、本課題に充てるエフォートが当初の計画よりも減ったため次年度使用額が発生し、本課題の延長を申請した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] CTCF loss induces giant lamellar bodies in Purkinje cell dendrites.2022
Author(s)
Teruyoshi Hirayama, Yuuki Kadooka, Etsuko Tarusawa, Sei Saitoh, Hisako Nakayama, Natsumi Hoshino, Soichiro Nakama, Takahiro Fukuishi, Yudai Kawanishi, Hiroki Umeshima, Koichi Tomita, Yumiko Yoshimura, Niels Galjart, Kouichi Hashimoto, Nobuhiko Ohno, Takeshi Yagi
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Journal Title
Acta Neuropathol Commun.
Volume: Nov 29;10(1):172
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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