2023 Fiscal Year Annual Research Report
発達期視床におけるヒゲ経験依存的シナプス再編の神経活動依存性の解析
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20K06862
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
河村 寿子 (中山寿子) 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (70397181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 体性感覚視床 / シナプス / リモデリング / 発達 / 臨界期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、頬ヒゲへの触覚入力を大脳皮質へ伝える経路にある体性感覚視床VPMのシナプス結合をモデルとして、生後の経験依存的なシナプスリモデリングの各過程(「選別」「強化」「刈り込み」)が、入力線維、シナプス後細胞、両者間のシナプス伝達に如何に依存するかを調べることである。2022年度までに生後8日目(P8)-P11にはシナプス前部にあたる脳幹三叉神経核PrV2の活動抑制でのみシナプス刈り込みが障害されるという結果が得られ、PrV2-VPMシナプスの刈り込み過程に、PrV2の神経活動にのみ依存する時期が存在することが示唆された。延長期間であった2023年度には、それらの結果をもとに論文作成を進める傍ら、P8-P11のPrV2とVPMの神経活動のシナプス刈込における独立性をさらに検証する実験を試みた。生直後(P1-P2)のtetO-TeNT/EGFP;Krox20-CreマウスとAAV-ihSyn-DIO-tTAを用い、また、母親の飲水経由でドキシサイクリンを仔マウスに作用させることによって、P8-P11にPrV2にテタヌストキシン(TeNT)を発現させてシナプス伝達を遮断することを試みた。しかし、P8時点でTeNT発現を示すEGFPを検出できなかった。そこで現在、Cre依存的tTA/rtTA発現マウスの使用を検討している。その際に重要となる、脳幹以外でのCre発現を抑えるためのマウスを、先端モデル動物支援プラットフォーム(AdAMS) ・新潟大学 阿部学先生のご支援を受けて作成している。また本年度は、PrV2-VPMシナプス結合の維持過程に着眼した実験も行い、維持期のヒゲ抜去による感覚入力への外乱がシナプス結合の強度(シナプス伝達の振幅)を減弱させる傾向にあるというデータを得た。今後、発達期に神経活動依存的に形成されたシナプス結合の維持機構に関する研究も進める。
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Research Products
(6 results)