2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on brainstem circuits that integrate binaural vestibular inputs in larval zebrafish as a model system
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20K06866
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
谷本 昌志 基礎生物学研究所, 神経行動学研究部門, 助教 (30608716)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 前庭 / 内耳 / 卵形嚢 / ゼブラフィッシュ |
Outline of Annual Research Achievements |
前庭感覚情報は内耳の前庭感覚器の有毛細胞によって受容される。耳石器官の有毛細胞で受容される頭部の傾き、変位や振動などの直線加速度の前庭情報が、神経回路でどのように処理されるのかを調べるため、耳石器官および前庭神経節ニューロンの活動を観察可能な受精後5日のゼブラフィッシュ生体標本を新たに作製し、独自に組み上げたカスタム顕微鏡を用いて、頭部静的傾斜刺激を与えた際の卵形嚢および前庭神経節ニューロンの活動をカルシウムイメージングによって可視化し、個々の細胞の活動を定量した。有毛細胞においては、ほぼ全てがロール(左右)傾斜のいずれかの方向に、そしてピッチ(前後/吻尾)傾斜のいずれかの方向に応答し、その方向選好性は形態学的に調べられた感覚毛の極性パターンとよく一致していた。卵形嚢から前庭情報を受ける前庭神経節においては、外側部にピッチ傾斜のいずれかの方向に応答する細胞集団が見いだされ、このなかで吻側下向きの傾斜に応答する細胞は吻側部に、尾側下向きの傾斜に応答する細胞は尾側に局在した。一方、ロール方向の傾斜については、同側耳下向き傾斜に応答する細胞のみが見られ、反対側耳下向き傾斜に応答する細胞はほとんど見いだされなかった。これらの結果から、受精後5日のゼブラフィッシュにおいてピッチ方向の頭部傾斜の前庭入力は両耳から脳へ伝達される一方で、ロール方向の頭部傾斜入力は下側の耳から主に脳へ伝達されることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自の生体内カルシウムイメージング実験系が期待通りに運用でき、頭部傾斜時の感覚入力の流れが明らかにされた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果を元に計画に沿って進める。
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Causes of Carryover |
SARS-CoV-2による状況により旅費等の使用状況に変更の必要が生じたため。状況は好転しているため、臨機応変に対応していく。
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