2021 Fiscal Year Research-status Report
複数脳領域からの入力を統合する神経細胞を標識・操作・計測する技術の開発
Project/Area Number |
20K06878
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北西 卓磨 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (90722116)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 経シナプスベクター / 交差発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
おおくの脳領域は、上流の複数の脳領域から入力を受けとる。こうした脳領域には、上流の複数領域のそれぞれから直接にシナプス入力を受ける神経細胞がしばしば存在し、これらの細胞は受けとった情報の統合に重要な役割を果たすと考えられる。本研究は、「げっ歯類の脳において、2領域から単シナプス入力を受ける神経細胞を選択的に標識・操作・計測するウイルスベクター技術」を開発することを目的としている。これにより、情報の統合に重要な役割を果たすと考えられる神経細胞の機能を多角的に解析できる汎用性・有用性の高い新技術を確立する。本年度は、網膜・一次視覚野→上丘、両側運動野→背側線条体、という2経路において、単シナプス入力を統合する神経細胞を標識することに成功した。また、静注するだけで全脳に遺伝子導入が可能なPHP.eBを用いることで、単シナプス入力を統合する神経細胞を全脳にわたり検索できることを示した。この手法は、脳領域をまたいだ情報の統合を調べるために有用である。以上の成果を、査読有国際誌に発表した (Kitanishi et al., Commun Biol, 2022)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ウイルスベクターによる経シナプス交差発現を実現し、論文発表をおこなった。そのため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、2領域から入力を受ける神経細胞の「標識」を実現した。今後は、これらの神経細胞の「操作」と「計測」ができることを実証し、シナプス入力を統合する神経細胞の機能解明に取り組む。
|
Causes of Carryover |
2021年度は、想定よりもやや早く、本研究についての論文投稿・改定・発表を行った。この作業が主となったため、次年度使用額が生じた。2022年度は、本研究の応用面である、細胞の操作・計測を実現するために注力し、次年度使用額はこのための物品費・謝金等に用いる。
|