2022 Fiscal Year Annual Research Report
軸索発達促進因子25型コラーゲンの分子基盤と先天性脳神経支配異常症の病態機序
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20K06888
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 朋子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (20530330)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | コラーゲン / 運動ニューロン |
Outline of Annual Research Achievements |
発生期の骨格筋に発現する膜貫通型コラーゲンCollagen XX(ColXXV)は、筋内部での運動ニューロンの軸索伸長に必須の分子である。令和4年度は、ColXXVの骨格筋由来の軸索発達促進因子としての役割をin vivoで検討するため、ColXXV発現を筋特異的に誘導するマウスを作出した。CRISPR-Cas9によりloxP-stop-loxP-COL25A1(LSL-Col25)のRosa26領域への挿入を試みたが目的の組換えは生じず、得られたトランスジェニックマウスを解析に用いた。胎生期の筋細胞にCreを発現するHSA-Creマウスと交配を行い、3つのF0系統に由来するF2個体50匹を得た。うち22%がHSACre;LSL-Col25であり、致死の表現型は認められなかった。 また、ColXXVとRPTPσ/δの相互作用が軸索伸長を促進する機序を検討した。RPTPσ/δはグリコサミノグリカン(GAG)により細胞膜上での会合状態が変化し、軸索伸長を制御する。RPTPのGAG結合部位に変異を持つKAmtでは、ColXXVとの結合が低下したことから、両者の相互作用にGAGが関わる可能性が示唆された。実際、ヘパラン硫酸やコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)はRPTPとColXXVの結合に競合した。さらに、RPTPをコートしたビーズにColXXVを加えると、ビーズの凝集を誘導する一方で、ヒト先天性脳神経疾患CCDDの変異を有するColXXVでは凝集効果は認められなかったことから、ColXXVもRPTPの会合状態の変化を介して軸索伸長を制御する可能性が示された。胎児脊髄前角explantを用いた解析からは、ColXXVの基質上で運動ニューロン軸索が促進すること、CSPG基質による軸索伸長の抑制効果がColXXVの存在により消失することを示した。
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