2022 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of neural circuit formation by Olig2 in the forebrain
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20K06895
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小野 勝彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30152523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 仁志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20462202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Olig2 / 前交連 / 神経回路形成 / 定量PCR / 軸索ガイダンス分子 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
転写因子Olig2は、脊髄のオリゴデンドロサイトと運動ニューロンの分化スイッチにかかわることが明らかにされてきた。あわせて申請者らは、間脳の領域形成を調節し、視床皮質投射回路形成にかかわることを示した。本研究では、Olig2がさらに神経回路形成を調節する可能性を調べた。 ほ乳類の前交連は、前部と後部から構成されており、それぞれ左右の嗅球領域と大脳皮質とを連絡する交連回路である。Olig2欠損マウスの胎生後期(胎齢18.5日;E18.5)の前脳を詳細に観察したところ、前交連は前額断面では不連続な部分があったり、水平断面では脳弓との相対的位置関係に異常がみられた。軸索マーカーであるL1-CAMを用いて調べると、野生型マウスではE14.5~E15.5で正中領域を交差する軸索がみられた。一方、Olig2欠損マウスでは、同じ時期には交連軸索はまだ見られず、E16.5の次期では、正中線に向かわず背側方向に向かっているような軸索がみられた。さらにE18.5 のOlig2欠損マウスの脳に脂溶性色素DiIを用いて軸索トレースを行うと、前交連の線維束は、正中線を越えるとすぐに軸索伸長を止めたり、また正中線から遠ざかるようなものもみられた。 前交連が形成される領域ではE13.5からE14.5の時期に、左右の脳室層が融合して前交連の軸索が通る経路が作られる。一方、この時期のOlgi2欠損マウスでは、脳室層が拡大しており左右の脳室層の融合が遅れる可能性が示唆された。Olig2欠損マウスを用いたマイクロアレイのpathway解析から、軸索ガイダンス分子や上皮間葉転換にかかわる遺伝子群の発言が変化していることが示された。定量PCRによる解析では有意な発現変化は見られなかったが、これらの遺伝子群の微弱な変化により前交連の形成異常が生じたことが示唆された。
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Research Products
(3 results)