2022 Fiscal Year Annual Research Report
サイトへジン2-Arf6小胞輸送経路を介した神経細胞の移動制御機構の解明
Project/Area Number |
20K06897
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
原 芳伸 北里大学, 医学部, 講師 (40558467)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 神経細胞移動 / サイトへジン2 / Arf6 / 細胞内小胞輸送 / 脳層形成 / リーリンシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小胞輸送制御因子である低分子量Gタンパク質Arf6とその活性制御因子であるサイトへジン2に着目し、移動神経細胞における活性調節機構および輸送積荷タンパク質の全貌を解明することを目的としている。 2022年度は①サイトへジン2の機能解析②リーリンシグナル経路の作用点の解明③サイトへジン2-Arf6経路による積荷タンパク質の解明を行なった。①について、サイトへジン2ノックダウン(KD)による移動異常と神経細胞の分化の関係を調べるため、NeuroDプロモーターの下流でGEF活性欠損型サイトへジン2が発現するベクターを作成し、E14の大脳皮質に遺伝子導入してP0で固定して移動度を調べた結果、サイトへジン2KDと同様の移動異常を示した。一方サイトへジン2KDベクターをE14の大脳皮質に遺伝子導入し、E15で細胞の局在を調べた結果、サイトへジン2KD細胞の多くは脳室面付近に局在していた。これらのことからサイトへジン2は脳室帯と移動開始後で個別の機能を有することが示唆された。②についてサイトへジン2KDベクターとリーリンシグナル経路関連分子の活性化型変異体をE14の大脳皮質に遺伝子導入してP0で固定した結果、Dab1恒常的リン酸化変異体や活性化型Rap1とリン酸化型Coffilin1の二つを共遺伝子導入された細胞は過剰移動を示したが、リン酸化Fyn変異体を共遺伝子導入された細胞はサイトへジン2KD細胞と同様の移動異常を示した。③について、サイトへジン2KD細胞における膜分子の免疫組織学的解析を行った結果、N-カドヘリンやリーリン受容体の細胞内蛍光強度に増加が見られた。 研究機関全体で実施した実験結果から、サイトへジン2-Arf6経路は移動神経細胞においてリーリンシグナルによりN-カドヘリンの発現を調節する新たな細胞内小胞輸送経路であることが示唆された。
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