2020 Fiscal Year Research-status Report
海馬CA1ー膨大後部皮質間の単シナプス抑制性神経回路構造の分子基盤を探る
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20K06899
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宮下 俊雄 帝京大学, 医学部, 講師 (80415314)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨岡 良平 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (30415244)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 海馬 / 抑制性神経細胞 / 神経回路 / netrin-G1 / 膨大後部皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、海馬CA1より膨大後部皮質(以下RS)へ神経線維連絡を持つnetrinG1陽性の抑制性神経細胞; CA1-RS GABA細胞(以下CRG細胞)に着目する。そしてCRG細胞に関して、分子生物学的な特性を明らかにする。また狂犬病ウィルスベクターを用いた越シナプス逆行性トレースにより、CRG細胞とシナプス接合を持つ細胞群を同定し、さらにnetrin-G1 KOマウスにおけるCRG細胞の神経回路を野生型と比較するという研究計画を立てた。 本年度はCRG細胞に発現するマーカー分子のスクリーニングを行い、ある分泌タンパクがCRG細胞に発現していることを見出した。この事からCRG細胞はある特定の海馬GABA細胞タイプに属するサブグループであると考えられる。また他にも数種類の分子が発現していることを発見し、CRG細胞におけるサブタイプについて検討している。 また抑制性細胞特異にcreを発現するvGAT:ires-cre トランスジェニック系統のCRG細胞にAAVベクターを用いてTVA及び狂犬病ウイルスGタンパク質を発現させた。ここに偽型狂犬病ウイルスを感染させ越シナプス的にCRG細胞にシナプス結合をもつ前シナプス細胞を可視化した。前シナプス細胞は多くの海馬CA1へ投射をする脳領域に存在することが明らかとなった。 またnerinG1:lacZノックインマウス及びnetrinG1 flox / vGAT:cre トランスジェニックマウス系統へ順行性及び逆行性のAAVベクターを注入しnetrinG1欠損マウスにおけるCRG細胞神経回路の変性を調べた。KOマウスホモ接合体においてはRSへの逆行性トレーサーの注入により標識されるCRG細胞の数が減少した。また海馬CA1への順行性トレーサーの注入によりRSの投射繊維の標的皮質層である第1層で標識されたCRG細胞の軸索が減少することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時に予定したすべての実験を進めることができ、順調にデータが得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はnetrinG1 KO系統を用い、CRG細胞の海馬内分布、マーカー分子の発現を精査し、野生型と比較する。また狂犬病ウイルスベクターを用いた回路解析においては異なるタイプのGABA細胞 (PV細胞陽性など)と比較し、CRG細胞が組み込まれる神経回路を明らかにする。またnetrinG1 KO系統においても狂犬病ウイルスベクターによる回路解析をこなう。 また順行性に越シナプス感染するAAVベクターをかいばへ注入しRSにおける標識細胞を精査することで、CRG細胞の後シナプス細胞の分布及び細胞タイプを明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ禍の影響で実験停止期間が生じてしまったため次年度使用額が生じた。 来年度は使用動物数が増える予定であり、また本年度参加する事を見合わせた学会参加も可能ならば行う予定である。
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