2022 Fiscal Year Annual Research Report
鳴禽類における親子間の相互作用が発声学習を促進する神経メカニズム
Project/Area Number |
20K06907
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
柳原 真 帝京大学, 先端総合研究機構, 講師 (60392156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 小鳥 / 歌学習 / 聴覚 / 社会的相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの言語学習と同様に、鳴禽類の歌学習は社会的相互作用によって促進される。幼鳥は親鳥がさえずる歌を聴き憶え、その歌を模倣することで親鳥と同じ歌をさえずるようになる。この学習では親鳥から直接歌を聴くことが重要であり、スピーカーから提示された同じ歌を聴いても幼鳥は歌をうまく学べない。親鳥との対面コミュニケーションが聴覚記憶の形成を促進すると考えられるが、その神経メカニズムは不明である。本研究では、親子間の社会的相互作用が子どもの脳神経回路の形成にどのように影響を与え、学習の促進につながるのか、神経細胞や神経回路レベルで明らかにすることを目的とする。これまでに、中脳ドーパミン神経の歌に対する聴覚応答が親鳥の存在の有無によって顕著に活動が変化し、一部のドーパミンニューロンは親鳥存在下で歌に対して強く応答することを明らかにしてきた。このことは、ドーパミンが歌の記憶形成過程に関わることを強く示唆する。次に、親鳥から歌を聴く際に放出されるドーパミンの脳内作用部位を特定するために、解剖学的実験をおこなった。逆行性ドレーサーを大脳聴覚野にインジェクションし、チロシン水酸化酵素(TH)の免疫組織化学染色との2重染色をおこなった。その結果、中脳ドーパミンニューロンの一部が大脳聴覚野へ投射していることが確かめられた。このことから、ドーパミンが大脳聴覚野の神経活動を直接制御して歌の記憶形成に関わることが示唆された。
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Research Products
(5 results)