2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of treatment for Parkinson's disease by improving striatal function
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20K06910
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
別宮 豪一 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20626353)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / 線条体 / L-ドーパ / ジスキネジア / ウィルスベクター / ΔFosB |
Outline of Annual Research Achievements |
L-ドパ誘発性ジスキネジア(LID)を直接惹起すると考えられる転写因子であるΔFosBの発現を抑制させるウィルスベクターを用い、片側パーキンソン病モデルラットの片側線条体に注入し、運動症状の変化とLIDの発現抑制効果を検討した。具体的には神経毒(6-OHDA)を用いて片側のドパミン神経を脱落させたラットに対し、同側線条体にAAV-shRNA ΔFosBを注入することにより、同部位でのΔFosBの発現を抑制させた。その後、L-Dopaの連日投与によりLIDを惹起させた。 ΔFosBを抑制した群では、コントロール群と比較して、有意にLIDの発現が抑制された。一方で、L-Dopaを投与することによる回転運動や種々の運動試験(Step test, Cylinder test, など)の結果には有意差がなく、L-Dopaによる運動症状改善効果には影響を与えない状態でLIDのみを抑制するという理想的な結果が得られた。最終的に脳サンプルを採取しウェスタンブロットで蛋白発現を評価したところ、線条体内でのΔFosB発現が有意に抑制されていたことが確認できたほか、リン酸化DARPP-32などLID関連分子の発現も有意に抑制されており、ΔFosBがLID発現において上流に位置する主要な分子であり、かつ治療のターゲットとなりうることが示唆された。また、病理学的評価ではΔFosB抑制群とコントロール群で線条体の神経細胞脱落や炎症反応には有意差がなく、本ウィルスベクターの安全性も確認ができた。本件は論文報告済みである(Beck et al, Gene Therapy 2021)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
もともと令和2年度に実施を予定していた、線条体におけるΔFosBの発現を抑制する実験が滞りなく終了し、非常に有用なデータが得られた。一方で、次年度以降に使用するウィルスベクターのうち、グルタミン酸受容体(NR2B)の発現を抑制するものの作成に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、片側パーキンソン病モデルラットを用い、グルタミン酸受容体(NR2B)の発現を抑制するウィルスベクターや合成したデザイナーリガンドにより抑制を受ける遺伝子改変したG タンパク質共役受容体を発現させるウィルスベクターを用い、L-Dopa誘発性ジスキネジアの発現に対する効果や運動症状への影響、安全性等の検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19感染の急速拡大により、国際機関と共同で進めていたウィルスベクターの作成作業を中断せざるをえなかったためと、学会出張に伴う交通費ならびに宿泊費の支出がなくなったためである。
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