2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanisms of rhythm fluctuation in the respiratory center
Project/Area Number |
20K06917
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
越久 仁敬 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (20252512)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニューロン-グリア相互作用 / 呼吸中枢 / 呼吸リズム / カルシウムイメージング / ネットワークシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アストロサイトと呼吸ニューロンの相互作用が呼吸の揺らぎを生み出しているという仮説を検証することである。アストロサイトと呼吸ニューロンの相互作用を考慮したニューロンネットワークのシミュレーションでは、相互作用が全くない時には、それぞれの呼吸ニューロンは規則正しく活性化され、呼吸リズムの揺らぎは起こらなかったのに対して、相互作用がある場合には、相互作用の強さに応じて、呼吸リズムの揺らぎが生じた。次に、シミュレーション結果の妥当性を検証するために動物実験を行った。まず、グリア細胞特異的タンパク質GFAPのプロモーターによってカルシウム感受性蛍光タンパク質 CASE12の発現が制御されるトランスジェニックマウスを用い、呼吸性バースト活動を示す脳スライス標本(breathing slice標本)を作製、吸息リズム形成のカーネルであるpreBotzinger complexにおけるアストロサイトのカルシウム活動を共焦点スキャナイメージングシステムを用いて観測した。その結果、低K+人工脳脊髄液に対するアストロサイトの応答は観測されたが、グリア細胞のグルタミン酸トランスポーター阻害薬TFB-TBOAによって代謝型グルタミン酸受容体の活性化を介してアストロサイトのカルシウム活動を増加させても、期待されるようなアストロサイトの応答は観測されなかったため、その原因について解明を行っている。また、新たな解析として、cross recurrence plotを用いて呼吸揺らぎとアストロサイト活動の非線形同期の定量解析を行い、実験結果をシミュレーションで再現できるかどうかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
期待されたアストロサイトのカルシウム応答が見られない原因については、まだ解明できていない。また、前年度にスライサーと温度制御装置が故障して、スライサーは2度のオーバーホール、温度制御装置は新しいものに更新したが、今年度、ペリスタポンプが故障して、これも新しいものに更新した。さらに、CSU制御装置が起動しなくなり、基盤の抜き差しでどうにか起動するようになったが、不安定なので、次年度に更新予定である。以上のような状況で、動物実験は予定よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.実験設備を整備する傍ら、呼吸揺らぎについての詳細なレビューを行った。令和4年度に発表予定である。 2.新たな解析として、cross recurrence plotを用いて呼吸揺らぎとアストロサイト活動の非線形同期の定量解析を行い、実験結果をシミュレーションで再現できるかどうかを検討する。
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