2022 Fiscal Year Research-status Report
Neural cricut mechanisms of adaptive modulation of multiple memory systems in decision making
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20K06935
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
雨宮 誠一朗 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (20796015)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 記憶 / ノルアドレナリン / 青斑核 / 前頭前野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、行動選択に関わる神経回路を同定するため、脳幹の神経核である青斑核を構成するノルアドレナリンニューロンとその投射先脳領域が構成する神経回路について検討した。ノルアドレナリンニューロンに発現する酵素Tyrosine hydroxylase(TH)遺伝子の領域下にCreリコンビナーゼ遺伝子を組み込んだTH-Creマウスを対象に逆行性ウイルスベクターを用いて、前頭前野および扁桃体に投射するノルアドレナリンニューロンをそれぞれ異なる蛍光タンパク質で標識した。その結果、多くの青斑核ノルアドレナリンニューロンはどちらか一方の蛍光タンパク質で標識されていることを明らかとし、前頭前野と扁桃体へ投射している青斑核ノルアドレナリンニューロンが異なるニューロン群であることを示した。次に、前頭前野に投射するノルアドレナリンニューロンと行動選択の関係を検討した。TH-Creマウスに逆転学習を行わせ、その際に前頭前野に投射するノルアドレナリンニューロンの活動をDREADD法により選択的に抑制した。その結果、前頭前野へ投射するノルアドレナリンニューロンの活動を抑制したマウスでは、コントロールに比べ、逆転学習の成績の低下がみられた。これらのことから、前頭前野へ投射するノルアドレナリンニューロンが、手続き的記憶に基づく行動選択から宣言的記憶に基づく行動選択への移行に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度予定した神経回路の解剖学的検討についておおむね終了しており、さらにその機能解析についても一定の結果を得ることができている。一方、神経活動記録設備の構築の遅延により神経活動記録実験が遅れている。そのため全体としてやや遅れていると判断するが、これまでに重要な結果を得ていることから、今後の研究には大きく影響しないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
行動選択課題中の記憶関連領域の神経活動とルアドレナリンニューロン活動の関係を検討する。そのために、神経回路選択的な神経活動の記録・制御と電気生理学的手法などのマルチユニット神経活動記録法を用いた実験系により研究を進める。
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Causes of Carryover |
今年度中に購入予定であった実験機器について、メーカー側の原因により大幅に遅れが発生し今年度中の納入が間に合わなかった。従って、次年度使用額は主にこの実験機器の購入およびこの機器を用いた実験に係る経費に使用する。
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Research Products
(3 results)