2020 Fiscal Year Research-status Report
T細胞応答に関わる分子基盤の解明を目指したケミカルツールの創製研究
Project/Area Number |
20K06938
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井貫 晋輔 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70736272)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 構造展開 / 医薬品探索 / ケミカルツール / 免疫応答 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自然免疫型T細胞の機能を制御するケミカルツールの創製を目的としている。本年度は、様々な疾患への関与が指摘されているmucosa-associated invariant T(MAIT)細胞とCD1a拘束性T細胞に着目し、それらの制御を担うMR1やCD1aタンパク質に作用するリガンド分子の探索を実施した。 (1)MR1タンパク質に作用するリガンドの探索:既知リガンドとMR1タンパク質のX線結晶構造解析を基にしたドッキングシミュレーションを行い、新規リガンドのデザインと合成を行った。特にMR1との結合に重要なヘテロ環骨格構造について、既知リガンドと異なる骨格を複数種類デザインし、活性評価を行った。その結果、活性リガンドを複数取得し、それらの一部は既知リガンドである5-A-RUに匹敵する活性を示した。また、新規ヘテロ環骨格取得のためのスクリーニング系の確立を目指した予備的検討も行った。 一方、既知リガンドは、リガンドに含まれるホルミル基と、MR1のLys43側鎖のアミノ基との間にシッフ塩基を形成することが知られている。今年度は、Lys43側鎖のアミノ基との共有結合形成を可能とする反応性官能基の探索を行った。生理的条件下においてアミノ基と反応可能な官能基を有する新規リガンドを設計、合成、評価した結果、構造展開の起点となるヒット化合物を見出すことに成功した。 (2)CD1aタンパク質に作用するリガンドの探索:既知リガンドであるリポペプチドDDM838の合成ルートの確立を行った。本合成ルートを用いて各種誘導体を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MR1やCD1aタンパク質に作用するリガンド分子の探索は順調に進んでいる。MR1タンパク質に作用するリガンドは、構造展開の起点となる新規骨格・反応性官能基を有するリガンドを見出した。その他、各種の誘導体合成とドッキングシミュレーションを行うことによって高活性リガンド取得のための分子設計指針を得ることができた。さらに迅速に活性リガンドを取得するために、スループットの高いスクリーニング系構築の予備的検討を行った。 CD1aタンパク質に作用するリガンドについても、多様な誘導体の合成を可能とするルートの確立に成功し、各種誘導体を合成した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、前年度と引き続き自然免疫型T細胞の機能を制御するケミカルツールの探索を目指して検討を継続する。 (1)MR1タンパク質に作用するリガンドの探索:化合物取得のためのスクリーニング系の開発を行い、所属研究室で保有する化合物ライブラリーを用いたスクリーニングを実施する。また、前年度までに取得した活性化合物を基にしたドッキングシミュレーションを行い、新規化合物のデザインと合成を継続する。 (2)CD1aタンパク質に作用するリガンドの探索:前年度までに確立した合成経路を利用して、誘導体の合成を引き続き検討する。評価系の構築を検討し、合成したリガンドの評価を行い、今後の分子設計の指針を得る。
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Research Products
(11 results)