2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of Poten Analgesics without Drug Dependence
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20K06943
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
藤井 秀明 北里大学, 薬学部, 教授 (30458757)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オピオイド / μ受容体 / スプライスバリアント |
Outline of Annual Research Achievements |
In vitro 評価系構築を目指しているμオピオイド受容体スプライスバリアント(SV)は、mMOR-1J、mMOR-1K、およびmMOR-1Lであり、このうちmMOR-1KおよびmMOR-1Lは6回膜貫通型である。また、最も重要視しているのはmMOR-1Lである。文献情報より、6回膜貫通型のSVは単独発現では機能せず、何らかの受容体と共発現させる必要があることがわかっており、それに従いノシセプチン受容体またはアドレナリンβ2受容体と共発現させる計画であった。しかし、mMOR-1KおよびmMOR-1Lのコーディング領域に関する情報が得られなかったため、共発現を試みる前に、mMOR-1(いわゆる通常のμオピオイド受容体)の全長cDNAを用いての発現を試みた。しかし、発現を試みた細胞に対し[3H]diprenorphineを用いた結合実験を実施したが、結合は認められなかった。[3H]diprenorphineの結合が認められなかった原因として、1)受容体の発現自体ができていない、2)受容体は発現しているが細胞膜への移行ができていないの2通りが考えられることから、発現を試みた細胞内にmMOR-1のmRNAが存在しているかどうかの検討を行っているところである。 化合物合成に関しては、SYK-823類縁体の合成を行った。具体的には、フェニルアルキル基の鎖長を最適化するためにSYK-823のメチレン鎖を伸長した化合物、π-π相互作用が重要かどうかを検証するためにフェニル基をイソプロピル基に変換した化合物を合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
6回膜貫通型のSVとノシセプチン受容体またはアドレナリンβ2受容体と共発現を試みるのに先立ち、mMOR-1の全長cDNAを用いての発現を試みたが、[3H]diprenorphineの結合は認められなかった。このため、mMOR-1の発現自身に問題があったのか、細胞膜への移行の段階に問題があったのかを検証するため、発現を試みた細胞内にmMOR-1のmRNAが存在しているかどうかの検討を行っているところであり、in vitro評価系の構築は遅れている。 一方、化合物合成については計画していた化合物群(SYK-823のメチレン鎖を伸長した化合物およびSYK-823類縁体のフェニル基をイソプロピル基に変換した化合物)の合成については、予定通りに完了した。なお、in vitro評価系構築が滞っているため、合成化合物の評価に関しては、今のところ見合わせている。
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Strategy for Future Research Activity |
mMOR-1J、mMOR-1K、およびmMOR-1Lのin vitro評価系構築に関しては、2021年度中にその可能性にめどをつける。各SVに対する評価系構築が困難であると判断した場合には、文献の方法(IBNtxA(6回膜貫通型のμオピオイド受容体SVに作用すると報告されている化合物)の結合部位に対する結合実験の手法)に準じた方法により、ATAPA(本研究の端緒となったペプチド性化合物であり、少なくともmMOR-1J、mMOR-1K、およびmMOR-1Lに対して作用する)の結合部位に対する結合実験の構築を試みる。この代替法を確立することができれば、当初計画していた3種のSV間における受容体選択性の検証はできないが、ATAPA様作用を有する化合物の探索において、従来実施していた鎮痛作用を指標とする方法(in vivo実験)を受容体結合実験により実施できることになる。 化合物の合成に関しては、計画通りに進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の主要課題の一つであり、2020年度研究計画における重要課題は、in vitro 評価系の構築である。しかし、1)in vitro評価系の構築が当初予定した通りには進捗していないこと、2)それに伴いATAPA放射性同位体標識化合物を委託合成する段階まで来ていないこと(委託合成の予算は、2020年度予算の約63%)、3)今後もin vitro評価系の構築のために予定外の費用が掛かる可能性が考えられるため、合成にかかる予算は可能な限り抑制したこと、等の理由により次年度使用額が生じた。
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