2020 Fiscal Year Research-status Report
11β-HSD1阻害活性を有する新規多環式メロテルペノイド類の収束的合成法の開発
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20K06949
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小林 豊晴 東京薬科大学, 生命科学部, 准教授 (40570883)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 全合成 / メロテルペノイド / マンギノイド類 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年にスピロ環を含む新規多環式メロテルペノイドであるマンギノイド類が新たに単離、構造決定された。生物活性試験の結果、マンギノイド A が特に高い11β-HSD1阻害活性 (IC50 = 0.84 μM)を有することが明らかとなった。11β-HSD1阻害剤は二型糖尿病などの生活習慣病に対する治療薬として注目されている化合物である。そこで新たに単離されたマンギノイド類のより詳細な生物活性試験のための試料供給と天然物よりも優れた活性を有する化合物の創出を目的とし、誘導体合成へと適応可能な収束的合成経路の確立を目指し研究を行った。まずは研究実施計画に基づきマンギノイド類の鍵骨格であるスピロ環を含む三環性化合物の構築法の確立を目指した。テルペン部位に相当する光学活性な五員環化合物とポリケチド部位に相当するC2対称性を有するキラルジケトンとのスピロ環構築について検討した。当初計画していたエポキシド部位を有する五員環化合物を用いた、Knoevenagel縮合とおよび1,4-還元、続く活性メチン部位からのエポキシドへの求核攻撃をワンポットで行うスピロ環部の構築は実現できなかった。しかしながら、五員環化合物の有する官能基を変更したのち、二つの化合物をKnoevenagel縮合と続く1,4-還元により結合させることに成功した。その後活性メチン部位からのアルデヒドへの求核付加反応により、スピロ環部の構築を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画において令和2年度では、マンギノイド類のスピロ環を含む三環性骨格の構築法の確立を目標としていた。実際にテルペン部位に相当する光学活性な五員環部位の合成とポリケチド部位に相当するC2対称性を有するキラルジケトンの合成を完了し、スピロ環構築について検討した。二つの化合物から一挙にスピロ環部を構築することは困難であったが、二つの化合物をKnoevenagel縮合と続く1,4-還元により結合した後、活性メチン部位からのアルデヒドへの求核付加反応により、スピロ環部の構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
テルペン部位をなる五員環化合物にそれぞれのマンギノイド類へと合成可能な官能基を適宜導入し、今年度達成したスピロ環部構築法を用いて、それぞれのマンギノイド類へと展開可能な三環性スピロ化合物を合成する。それら化合物からD環部を構築することでマンギノイドAを、またD環部および環状アセタール部位を構築することでマンギノイドEの全合成を目指し、検討していく。
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