2020 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis and biological properties of naturally-occurring highly ordered quinoidal pigments
Project/Area Number |
20K06955
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
北村 圭 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00756695)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 芳香族ポリケチド / ウロロイコナフィン / 天然有機色素 / キノイド構造 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アブラムシの生産する芳香族ポリケチド化合物の合成研究と関連する応用研究に展開するものである。まず当研究室にて単離、構造決定した赤色のウロロイコナフィンおよび緑色のビリダフィンを当面の合成標的化合物とした。これらは共通して高酸化度のピラノナフトキノンをもち、構造上の複数箇所で互いに連結した複雑な二量体化合物である。今年度は、これらの単量体構造であるピラノナフトキノンを光学活性体として調製することを検討した。その結果、ジヒドロキシ安息香酸から誘導したシアノフタリドとD-フコースから調製したエノン誘導体とのHauser-Kraus反応を鍵工程とする簡便な合成法の開発に成功した。このものは天然物の全合成に向けた有望な合成中間体としての利用が期待される。 また、天然物ウロロイコナフィンは酸性条件あるいは塩基性条件下にて、単量体間の結合切断を契機とする類似の二量体化合物への構造異性化が容易に進行することを見出した。塩基性条件では同じアブラムシの生産する黄色の色素に異性化し、酸性条件では別のアブラムシの生産する緑色の色素を与えた。これにより、単離段階で不明であったビリダフィンの絶対立体配置を決定できた。さらに反応条件を適切に設定することで、酸化度の異なる天然物の作り分けにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
芳香族ポリケチド二量体化合物として、アブラムシ色素であるウロロイコナフィンおよびビリダフィンに共通する単量体を光学活性体として合成することに成功した。既存の合成ルートを改良した結果、工程数の大幅な短縮と市販原料からの総収率の向上に成功し、今後の展開に向けた量的供給を可能とした。また、天然から得られる赤色色素のウロロイコナフィンについて化学変換を検討したところ、酸性条件下で緑色色素のビリダフィンに変換するための初期的な知見が得られ、関連化合物への誘導化に関する指針が立てられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の知見を踏まえ、まずはウロロイコナフィンA1の全合成に向けた検討を行う。次の段階として二量体構造の効率的構築法の開発が必要であるが、立体障害の大きい炭素-炭素結合を立体選択的に形成するため、芳香族アニオンおよび芳香族ラジカルを用いた付加反応を重点的に検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Total Syntheses and Cytotoxic Evaluations of Cryptolactones A<sub>1</sub>, A<sub>2</sub>, B<sub>1</sub>, B<sub>2</sub>, and Their Derivatives2020
Author(s)
Makoto Inai, Yuki Oguri, Mitsuyo Horikawa, Hiroto Kaku, Shinya Suzuki, Kei Kitamura, Tetsuto Tsunoda
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Journal Title
Chemical and Pharmaceutical Bulletin
Volume: 68
Pages: 380~383
DOI
Peer Reviewed
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