2020 Fiscal Year Research-status Report
ペプチド側鎖環化による新規二次構造の創出と制御法の開発
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20K06967
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上田 篤志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (10732315)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ジ置換アミノ酸 / ペプチド / 有機分子触媒 / 薬学 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ジ置換アミノ酸を導入したペプチドフォールドマーに関して、側鎖架橋を利用するアプローチを試みた。すなわち4-ヒドロキシ-L-プロリンの4位水酸基をアリル保護したアミノ酸と、側鎖が異なる長さや構造を有するオレフィン側鎖を持った種々のアミノ酸やペプチドを縮合させ、それらをGrubbs触媒を用いる閉環メタセシス反応の条件に付すことで側鎖架橋を形成させた反応と、4-ヒドロキシ-L-プロリンの代わりに(R)-α-アリルプロリンを用いた反応を比較したが、どの場合も良好な収率で架橋ペプチドを与えることがわかった。次に架橋前後のペプチドに関して、それぞれCDスペクトルを測定したところ、架橋後のペプチドの方が右巻きのヘリカル性が向上していることが示唆された。これは側鎖架橋を導入することにより二次構造が安定化されたものと考えられる。 次にペプチドの機能性を調べるために、有機分子触媒としての利用を検討した。α,β-不飽和アルデヒドに対するマイケル付加反応に対して、ペプチドを20 mol %使用して触媒反応を試みたところ、架橋後の方が収率・選択性が高く、さらに触媒量を10 mol %、5 mol %へと低減したり、温度を下げたりしたりした場合にその傾向は顕著であった。 一方N末端の窒素上にアリル基を導入したペプトイドと内部残基の側鎖オレフィンとの間で側鎖架橋を形成させる反応では、反応自体はスムーズに進行したものの、有機分子触媒としての活性は示さなかった。 以上の事柄は、ペプチドの機能性開発における有益な指針となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書に記載した内容に従い各項目に関しての研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ペプチド二次構造を安定化させる手法であるペプチド側鎖炭素架橋形成反応において、オレフィンのE/Z選択性は中程度であった。今後はさらにE/Z選択性を高めるべく、条件やアミノ酸の構造を精査する。そして選択性発現に鍵となる要素を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大のため、研究自粛期間や成果発表を予定していた学会がキャンセルになった影響が大きい。引き続き計画を推し進めるとともに、投稿論文のオープンアクセス化などにより、広く研究成果の公表を行う。
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