2022 Fiscal Year Research-status Report
ペプチド側鎖環化による新規二次構造の創出と制御法の開発
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20K06967
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上田 篤志 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (10732315)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ジ置換アミノ酸 / ペプチド / 側鎖環化 / 薬学 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ペプチド側鎖架橋反応の反応効率に関する研究を中心として実験をおこなった。ペプチド側鎖間で炭素結合を形成させるペプチド側鎖架橋は、ペプチドの二次構造の安定化に寄与し、ペプチドの機能性を向上させるツールとして有用である。閉環メタセシスによる炭素架橋には、一般的にジ置換アミノ酸である(4-ペンテニル)アラニンが汎用されているが、そのアルファ位不斉中心としてはS体とS体の組み合わせが用いられていた。 S体とS体以外の組み合わせにおけるペプチド側鎖架橋効率とそのE/Z選択性に興味を持ち、S体/R体、R体/S体、R体/R体の3つの組み合わせを有するペプチドを合成し側鎖架橋反応をおこなった。E/Z選択性は得られなかったものの、興味深いことにS体/R体の組み合わせにおいて最も架橋効率が高くなるという結果が得られた。 この結果の一般性を検証するべく、異なる配列や構成アミノ酸を用いてS体/S体とS体/R体の(4-ペンテニル)アラニンの組み合わせを有するペプチドで側鎖架橋形成反応をおこなった。その結果、C末端側のジ置換アミノ酸の導入部位がC末端に存在する時は、S体/R体の組み合わせにおいて最も架橋効率が高くなった。一方で、C末端側のジ置換アミノ酸の導入部位がC末端から内部に存在すると、S体/R体の組み合わせでの架橋効率は低下するという結果が得られた。 これら合成した架橋前後のペプチドのうち、いくつかのペプチドに関してはX線結晶構造解析をおこなうことに成功した。これらのX線結晶構造はS体/R体のジ置換アミノ酸の組み合わせを有するペプチドの架橋効率の結果を支持する構造を有していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書に記載した内容に従い各項目に関しての研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今回得られた鎖状ジ置換アミノ酸の立体化学の組み合わせが側鎖架橋効率に与える結果を、より体系的にまとめて基質一般性を調べ、論文としてまとめることで、あるいは学会発表等を行うことで、研究成果を公表していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により研究の進行に支障が出た影響が大きい。 合成実験に必要な試薬・消耗品等の購入等に充てる予定。
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