2021 Fiscal Year Research-status Report
Boron based first-class drug discovery for contribution to a longevity society
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20K06972
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
太田 公規 昭和大学, 薬学部, 准教授 (90347906)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ホウ素クラスター / ホウ酸エステル / 加齢性疾患 / ラジカル捕捉作用 / エストロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、これまで本研究者が進めてきたホウ素クラスターを利用した創薬研究を破壊的イノベーションと持続的イノベーションの両面から拡大させ、加齢性疾患を標的とした革新心的治療薬の創製を目指している。現在では、加齢に伴うタンパク質などの生体分子の変性が様々な加齢性疾患の根源であると考えられており、タンパク変性を促す生体内での酸化反応の持続的制御や、原因タンパク質を直接分解するのような革新的方法による創薬が長寿社会日本を支援すると考えられる。 これまで本研究者は、ホウ素化合物ライブラリーを構築し、そのランダムスクリーニングから様々な生理活性物質を見出している。加齢性疾患をターゲットとしたのもでは、アミロイド重合阻害化合物、ラジカル捕捉化合物、抗腫瘍活性化合物、代謝酵素阻害化合物などが挙げられる。本研究では、これまでに見出したホウ素含有化合物をリードとし、構造活性相関の精査、メカニズム解析、ホウ素化合物の新たな特性の探索を進めている。前年度に引き続き、条件を検討しながら見出したラジカル捕捉化合物のラジカル捕捉メカニズムをNMRやESRを利用し解析を進めたが、ラジカル中間体を捕らえることはできなかった。その一方で、スクリーニングからヒットした化合物をもとに新たなラジカル捕捉化合物の合成を進めた。 核内エストロゲン受容体制御化合物の研究で蓄積した知見をもとに、エストロゲン受容体分解化合物および組織選択的化合物の探索研究を進めた。フェノールは代謝安定性が悪いこともあり、ホウ酸およびホウ酸エステルとすることで化合物の活性プロファイルを大きく変更できる可能性がある。現在、今年度論文として発表した化合物にホウ素クラスターおよびホウ酸エステル構造の導入を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、コロナウイルス感染症の蔓延により時間的制約や行動制限など研究環境に大きな制限があったが、研究の時間や方法、共同研究の進め方を工夫し、計画通り研究を進めることに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
破壊的イノベーションと位置付けているラジカル捕捉作用を示すカルボラン誘導体については、様々な条件で測定したにもかかわらずラジカル中間体が観測できなかったため、ラジカルを安定化できる構造を組み込んだ誘導体を合成するなどの工夫が必要であろう。ラジカル捕捉をすることは明らかであるので現時点での結果を用いて論文を執筆することも視野に入れる。 エストロゲン受容体化合物では、ホウ酸エステルの合成を進め、誘導体を得た後、in situにおけるフェノール構造への誘導を検討する。ホウ酸誘導体にエストロゲン受容体分解作用も報告されているので、ホウ酸エステルの加水分解からホウ酸誘導体とし、そのエストロゲン受容体への作用を検討する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により予定していた国際学会が中止となり、また国内の学会もオンライン開催となったため出張旅費の支出がなかった。また前年度からの繰り越し金もあったため翌年度への繰り越しが生じた。 生物活性および物理化学的評価の試薬および器具の購入に使用する。また、化合物の合成に必要な器具類についても購入を予定している。研究成果を広く公開したいため、オープンアクセス論文への投稿を増やし、国際学会および国内学会へ積極的に参加する予定であり、そこでの費用として使用する。
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Research Products
(3 results)