2021 Fiscal Year Research-status Report
Cope型ヒドロアミノ化に基礎をおくケミカルバイオロジー・創薬基盤技術の開発
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20K06973
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田村 修 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30257141)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Cope型ヒドロアミノ化 / 歪みの解消 / ヘテロCopeヒドロアミノ化反応 / イソシアネート / オキシム / ニトロン形成 / 1,3-双極子付加環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)歪みの解消を駆動力とする分子間Cope型ヒドロアミノ化反応の開発と生体直交型反応への展開:まず、シクロオクチン誘導体とモノアルキルヒドロキシルアミンの分子間反応で分子間Cope型ヒドロアミノ化を経由して、ニトロンを得る反応を開始した。しかし、昨年、ジアルキルヒドロキシルアミンと末端アルキンの Cope型ヒドロアミノ化によるエナミンオキシドの生成およびジアルキルヒドロキシルアミンとシクロオクチンの Cope型ヒドロアミノ化によるエナミンオキシドの生成反応が相次いで報告された[ACS Central Science, 2021, 7(4), 631-640; J. Am. Chem. Soc. 2021, 143(15), 5616-5621. ]。そこで、歪んだアルケンとしてトランスシクロオクテンを用いて検討を続けたが、トランスシクロオクテンの不安定さもあり、うまくいっていない。現在は、集積二重結合であるアレンとの反応を検討している。 (2)ヘテロCopeヒドロアミノ化反応の開発とクリック反応への展開:適切なジポラロフィル子存在下、イソシアネート類とオキシムとの反応によりCope型ヒドロアミノ化反応を起こさせ、ニトロンを系内で発生させ、これを直ちに1,3-双極子付加環化反応に用いるという反応の検討を行ってきた。反応条件の最適化を行った結果、最高収率94%に達した。また、計算化学を用いて、オキシムとイソシアネート類の反応でニトロンが生じる反応の遷移状態を求めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)歪みの解消を駆動力とする分子間Cope型ヒドロアミノ化反応の開発と生体直交型反応への展開:これに関しては、アルキンとジアルキルヒドロキシルアミンとの反応が、他の2つのグループにより報告され、歪んだトランスアルケンへのヒドロキシルアミンの分子間Cope型ヒドロアミノ化反応も現在うまくいっていないが、集積二重結合であるアレンとの反応に方向転換した。 がある。また、それらの反応性の比較も研究する価値がある。 (2)ヘテロCopeヒドロアミノ化反応の開発とクリック反応への展開:これに関しては、オキシム、イソシアネート、ジポラロフィルの3成分を一挙に反応させ、ヘテロCopeヒドロアミノ化反応によるニトロンの発生と分子間1,3-双極子付加環化反応により付加環化体が生成すること見出しているが、この反応の条件の最適化に成功し、「使える反応」まで仕上げることができた。また、計算化学を用いて、ニトロン形成時の遷移状態を求めることにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)歪みの解消を駆動力とする分子間Cope型ヒドロアミノ化反応の開発と生体直交型反応への展開:トランスシクロオクテンとヒドロキシルアミンとの反応がうまくいっていないので、集積二重結合であるアレンとヒドロキするアミンとの反応を検討する。 (2)ヘテロCopeヒドロアミノ化反応の開発とクリック反応への展開:オキシム、イソシアネート、ジポラロフィルの3成分の一挙反応の反応条件が確立できたので、それぞれ官能基化した3成分を用いて反応を行い、3点が官能基化された付加環化体を得る。それぞれの官能基特有の結合形成反応をおこなうことにより、中分子合成が可能になる。
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Research Products
(11 results)