2021 Fiscal Year Research-status Report
環状歪みアルキンの発生を鍵としたヘテロ環の新規変換反応の開発
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20K06980
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
武永 尚子 名城大学, 薬学部, 助教 (60734845)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超原子ヨウ素 / 核酸塩基 / ウラシル / ヨードニウム塩 / ヘテロアライン / ベンザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸塩基のなかでも、ウラシル骨格は抗がん活性や抗ウイルス活性等を示す医薬品のファーマコフォアとして重要な機能を有している。創薬分子創製に必要なウラシルの誘導化には、その二重結合炭素原子上への置換基の導入が必要であるが、直接的C-H官能基化を繰り返し用いる等の多工程を要する手法しかこれまで報告されておらず、効率的な官能基化法が望まれていた。近年では、ヘテロ環化合物の効率的な多官能基化において、歪んだ三重結合活性種であるヘテロアラインを用いた手法が注目されており、特に環化付加反応は多くの医薬品に含まれる多環式複素環骨格を一挙に構築できる有用な反応である。ウラシル骨格を有する環状歪みアルキンの発生は、未知のウラシル誘導体の合成に大きく貢献できると考えられるが、これまでウラシルを含むピリミジン類のヘテロアラインの発生の報 告例はなかった。 このような背景下、我々は核酸塩基の新規合成素子として、安定で取り扱いの容易なウラシル骨格を有するヨードニウム塩の合成に成功している。そこで本研究では、ヨードニウム塩を活用した新規三重結合活性種の発生を鍵とし、ヘテロ環の炭素-炭素二重結合上において一挙にビシナル位の結合形成を行う効率的で新しい官能基化法を開発することを目指す。前年度に引き続き、今年度は、独自に合成したウラシルヨードニウム塩からウラシルのヘテロアラインアナログである活性種の発生、およびウラシルのふたつの二重結合炭素を同時に官能基化する新規変換反応の検討を行った。種々の反応の検討を試みたところ、[4+2]、[3+2]、[2+2] 環化付加反応、σ結合挿入反応が効率よく進行し、多彩なウラシル誘導体が得られることが分かった。また、多様な核酸塩基誘導体の合成法の一つとして、ブレンステッド酸/フルオロアルコール系を用い、プリン骨格を有する新規ビアリールの合成も併せて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に掲げた当初の研究目標についておおむね問題なく達成できている。 研究経費についても有効に活用できており、次年度に行う生体関連分子の購入に充てる経費を十分に残せてある。 研究成果の公表に関して、既に学会や学術雑誌にいくつか発表しており、引き続き学術誌への投稿や学会での発表を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの基盤研究を発展させ、生体関連分子等の有用な多環式化合物群の前駆体合成を適宜推し進めたい。核酸塩基誘導体の環境調和型反応を実用的な手法 として確立し、近年注目されている核酸医薬分野への新規化合物の供給を意識した研究展開を行いたい。
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Causes of Carryover |
今年度も昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、研究活動が制限されたことや、本研究以外の業務が増加したことにより、研究計画の大幅な見直しが生じ、小スケールでの実験検討が主となった。そのため、購入した試薬や消耗品の量が当初予定よりも少なく、支出が少ない結果となった。 次年度は、今年度開発した反応の実用性の確認や応用も含め、対象とする化合物を絞った大スケールでの実験実施を計画している。そのための多くの試薬や規格の異なるガラス器具の購入が必要となり、未使用額はそのための購入費用に充てるため、研究期間全体を通しての研究費の執行額に大きな変更はない予定である。
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Research Products
(5 results)