2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of highly functionalized cyclic compounds by a cascade chiral transfer of axially chiral allenes
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20K06981
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
吉田 昌裕 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (10344681)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アレン / パラジウム / 不斉反応 / 異性化 / 軸不斉 / 不斉転写 / 分子内環化 |
Outline of Annual Research Achievements |
軸不斉を有するアレンは有機合成上有用な合成素子であり、様々な変換反応が知られている。最近申請者は、プロパルギルエーテルの不斉異性化反応により光学活性アレンが高い光学純度で合成できることを見出した。今回、本不斉異性化反応を鍵とした「中心不斉→軸不斉→中心不斉」の連続的な不斉転写を伴う化学変換により、高度に置換された環状化合物の合成を試みた。 昨年度はブロモアリール基が導入されたアレンに対しパラジウム触媒存在下、アリールボロン酸を作用させると立体選択的な分子内環化-カップリングが進行し、アリール置換されたベンゾフラン誘導体が生成することを見出した。 今回、見出した不斉転写を伴う分子内環化の条件最適化と一般性について検討を行った。その結果、本反応はベンゼン環上にメチル基やメトキシ基等の電子供与基や、フルオロ基やクロロ基をはじめとするハロゲン、またニトロ基等の電子吸引基が導入された様々なアリールボロン酸に対し適用可能であり、相当する環化体が得られることが明らかとなった。更に得られた環化体の光学純度を測定したところ、いずれも高い光学純度であることが明らかとなった。またX線結晶構造解析により得られた環化体の絶対配置を決定できた。以上の結果から、本反応における不斉転写率は極めて高く、更に連続的な不斉転写反応の機構を考察することが出来た。今後は有機ホウ素化合物以外の様々な有機金属試薬を用いるとともに、窒素原子が導入されたプロパルギルアミンを基質に用いた連続的不斉転写反応についても検討し、相当するインドール誘導体が生成するか検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画ではプロパルギルエーテルからアレンへの不斉異性化が効率的に進行しうる反応条件を探索後、得られた光学活性アレンを用いた不斉転写を伴う分子内環化について検討することが目的であった。今回の検討では様々なアリールボロン酸存在下にて予期した反応が進行し、ベンゾフラン誘導体が高い光学純度で生成することを見出した。更に連続的な不斉転写の機構についても明らかにすることができた。現在他の有機金属試薬を用いた連続的環化-カップリングについて検討中であるが、上記の研究成果はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては有機ホウ素化合物以外の様々な有機金属試薬を用いた連続的環化-カップリングについて検討を行う。即ち試薬としてアリールボロン酸の代わりに有機亜鉛や有機スズ、Grignard試薬、銅触媒存在下におけるアルキン等のパラジウム触媒存在下におけるカップリング試薬として知られている有機金属試薬を用いることで、同様の反応が進行するか検討を行う。また反応基質中に酸素原子の代わりに窒素原子が導入されたプロパルギルアミンを基質に用いた連続的環化-カップリング反応についても検討する。本反応では反応の進行により相当するインドール誘導体が生成することが予想される。不斉反応の検討に先立ち、ラセミ体の基質を用いて反応が進行するか否か検討を行う。
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Causes of Carryover |
前年度は当初予定していた研究成果は挙げられたものの、コロナウイルス感染症の影響で研究の遂行に一部支障・遅延が生じた。また当初予定した学会参加がすべてオンライン開催となり、旅費の支出がなくなったため未使用金が一部生じた。次年度は繰越金を試薬購入を中心とした物品費にあてることで、研究を精力的に遂行していく予定である。
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