2021 Fiscal Year Research-status Report
亜硫酸由来ラジカルを基軸とした潰瘍性大腸炎治療戦略の構築
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20K06994
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
安川 圭司 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (80372738)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜硫酸由来ラジカル / 潰瘍性大腸炎 / 亜硫酸オキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎は発症機序が未だ不明な難病である。これまでに当分野ではデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎マウスの発症初期において硫酸塩、亜硫酸塩及び高反応性を有する亜硫酸ラジカルの産生が亢進していることを明らかにしてきた。しかし、亜硫酸ラジカルがどのような機序で産生し、潰瘍性大腸炎の発症や進展にどの程度関与しているかは不明である。 亜硫酸ガス誘発肺障害モデルマウスを用いた先行研究では、生体内で亜硫酸塩を硫酸塩に代謝する亜硫酸オキシダーゼの活性を枯渇させることで亜硫酸塩が蓄積し亜硫酸ラジカルを介してタンパクラジカル産生が増加することが報告されている。その報告を参考に亜硫酸オキシダーゼ欠損マウスを作成し、亜硫酸塩と亜硫酸ラジカル産生、および大腸炎形成との関連を検討した。 雄性4週齢ICRマウスをMo欠乏食で飼育し200ppm Na2WO4水溶液を3週間自由飲水させることで亜硫酸オキシダーゼ欠損マウスを作成した。その後、3%DSS水溶液を2日間自由飲水させた後に各種評価を行った。亜硫酸ラジカル産生はESR/スピントラップ法を用いて測定した。 亜硫酸オキシダーゼ欠損DSS投与群は通常のDSS投与群と比較してDAIスコアが有意に増加し、大腸長も減少傾向を示した。また、亜硫酸オキシダーゼ欠損DSS投与群は通常のDSS投与群と比較して大腸組織における硫酸塩や亜硫酸塩が増加し、亜硫酸ラジカルの産生も認められた。 以上より、DSS誘発大腸炎マウスにおいて、亜硫酸ラジカル産生が大腸炎の発症や進展に寄与することが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に対し、概ね予定に近い内容の研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため、亜硫酸ラジカルの産生機序、大腸細胞への酸化損傷と炎症誘発機構について追加検討しデータを取りまとめ、論文化を進める。また、亜硫酸由来ラジカル産生イメージング技術の確立および候補薬の治療効果評価への応用に向けた検討を進める。
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Causes of Carryover |
概ね計画通りに研究を遂行したが、試薬や実験動物などの消耗品を当初より安価に購入できたことから、残額が発生した。次年度は主に前半で物品費に充て、後半で論文など成果発信に係る費用を中心に充当する予定である。
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Research Products
(2 results)