2022 Fiscal Year Research-status Report
亜硫酸由来ラジカルを基軸とした潰瘍性大腸炎治療戦略の構築
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20K06994
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
安川 圭司 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (80372738)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 亜硫酸由来ラジカル / 潰瘍性大腸炎 / 亜硫酸オキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎は発症機序が未だ不明な難病である。これまでにデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発大腸炎マウスの発症初期において硫酸塩、亜硫酸塩及び高反応性を有する亜硫酸ラジカルの産生が亢進していることを明らかにしてきた。また、生体内で亜硫酸塩を硫酸塩に代謝する亜硫酸オキシダーゼの活性を枯渇させたSOX欠損マウスを用いて検討を行い、SOX欠損DSS投与群は通常のDSS投与群と比較してDAIスコアが有意に増加し、大腸長も減少傾向を示すこと、亜硫酸オキシダーゼ欠損3%DSS投与群は通常の3%DSS投与群と比較して大腸組織における硫酸塩と亜硫酸ラジカル産生が増加することを示した。以上からDSS誘発大腸炎マウスの発症初期から亜硫酸由来ラジカルの連鎖反応が進行し、大腸組織が傷害されていると考えられた。 そこで、DSS飲水による大腸組織の亜硫酸オキシダーゼ活性への影響を検討したところ、DSS飲水の有無やDSS飲水日数による亜硫酸オキシダーゼ活性の統計学的有意な変動は認められなかったことから、DSS飲水による亜硫酸ラジカルの産生機序への亜硫酸オキシダーゼの関与は低いことが示唆された。 また、亜硫酸ラジカルの消去はDSS誘発大腸炎の軽減に有用であると考えられることから、ESR/スピントラップ法を用いて化合物の亜硫酸ラジカル捕捉作用を検討した結果、数種の化合物はスピントラップ剤DMPOの亜硫酸ラジカル付加体形成を顕著に抑制し、亜硫酸ラジカル捕捉作用が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究遂行に想定以上に時間を要し、昨年度内に完遂できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
亜硫酸ラジカルの産生機序について追加検討し、データを取りまとめて論文化を進めると共に、亜硫酸由来ラジカルを標的とした候補薬の治療効果評価に向けた検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究遂行に想定以上に時間を要し、当初の計画よりも遅延が生じたために残額が発生した。次年度は主に前半で物品費に充て、後半で論文など成果発信に係る費用を中心に充当する予定である。
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