2022 Fiscal Year Annual Research Report
抗アレルギー活性を有するIgE標的デコイリポソーム製剤の開発
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20K06996
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Research Institution | Kanagawa Prefectural Institute of Public Health |
Principal Investigator |
田所 哲 神奈川県衛生研究所, 理化学部, 主任研究員 (20389109)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リポソーム / アレルギー / マスト細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
花粉症や喘息などの即時型アレルギー疾患は増加傾向にあり、社会問題として取り上げれる機会が増えている。アレルギー疾患に関与するマスト細胞は、細胞内に炎症性メディエーターを含む分泌顆粒がある。抗原が細胞膜表面上のIgEを介してIgE受容体を架橋すると、外液から細胞内へのCa2+流入に続く、脱顆粒によって炎症性メディエーターが細胞外に放出され、アレルギー症状が引き起こされることになる。本研究では、IgE受容体α鎖をリポソームに組み込むことでプロテオリポソームとし、その抗アレルギー活性を検討することを目的とした。 リポソームは静置水和法を用いて作製した。IgE受容体α鎖は、リポソーム共存下においてin vitroのタンパク質合成系を用いて作製した。IgE受容体α鎖の発現は、抗体を用いたウエスタンブロット及び免疫染色で確認した。作製したプロテオリポソームにおけるIgE受容体α鎖の配向性は、トリプシン処理により評価した。マスト細胞の脱顆粒は、分泌顆粒中に含まれるbeta-hexosaminidaseの放出量を指標に評価した。IgE受容体α鎖リポソームによる細胞傷害性は、細胞外に放出されたLDHを指標に評価した。 ウエスタンブロット及び免疫染色の結果、IgE受容体α鎖が組み込まれたプロテオリポソームを構築することができた。構築したIgE受容体α鎖リポソームの配向性について検討したところ、内向きと外向きでランダムに組み込まれていた。また、IgE受容体α鎖リポソームは、マスト細胞に対して細胞傷害性を示さず、抗原刺激による脱顆粒を抑制した。しかしながら、抑制効果は小さいことから、IgEがリポソームに吸着し、マスト細胞表面のIgEが減少した可能性も考えられる。
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