2021 Fiscal Year Research-status Report
脂質-ペプチドナノ粒子を用いた標的細胞膜への膜タンパク質デリバリー技術の開発
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20K06998
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
池田 恵介 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (00553281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 裕之 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 助教 (00805020)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノディスク / 脂質二重層 / 膜融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
膜タンパク質は、物質輸送や情報伝達、エネルギー変換、細胞分化など生命機能にとって必須の役割を担う重要な分子であり、主要な創薬ターゲットでもある。本研究の目的は、外部から投与した膜タンパク質分子を細胞膜へ導入する方法を確立し、生きた細胞上での膜タンパク質の機能と構造を解析することである。このために申請者らがこれまで研究をおこなってきた脂質-ペプチドナノ粒子系を活用する。2021年度は、ナノ粒子を作製し、標的脂質膜であるリポソーム膜との融合を様々な手法を用いて評価するとともに、膜タンパク質モデルとなる膜貫通ペプチドのナノ粒子への埋め込みについて検討した。ナノ粒子とリポソームとを混合すると、ナノ粒子中の脂質二重層の相転移に伴うナノディスクの不安定化によって、ナノ粒子中の脂質分子がリポソーム膜へ移動することを密度勾配遠心分離法と蛍光強度に基づく定量法を組み合わせることにより確認した。さらにこの分子移動を蛍光顕微鏡法によって視覚的に観察することに成功した。ナノ粒子およびリポソームの脂質組成を変えて検討した結果、この膜融合には、ナノ粒子および標的リポソーム膜両方の脂質二重層が液晶相であることが必要であった。したがって、融合を温度によってコントロールすることが可能であると示唆された。また、膜貫通ペプチドをナノ粒子中に埋め込むプロトコルを確立し、ナノ粒子とリポソーム膜の融合を通じて膜貫通ペプチドがリポソーム膜へ移動することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたナノ粒子に組み込んだモデル膜タンパク質の標的リポソーム膜への移行を確認できている。研究計画に特段の変更は無い。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、調製したモデル膜タンパク質を導入したナノ粒子を培養細胞に投与し、標的細胞膜への膜タンパク質の移動を評価する。また、移行したモデルタンパク質の活性評価をおこなう。
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Causes of Carryover |
学会がオンラインで実施され、予定した旅費を必要としなかったため。次年度以降の研究発表活動に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)